五輪汚職事件、なんかショボくて寂しい

新聞の一面を賑やかしてはいるものの、なんともショボい印象がぬぐい切れない事件です。

 

ところで、20年ほど前に1年足らず務めただけなのに「元東京地検特捜部副部長」という肩書で、テレビによく出るちょび髭の弁護士氏がいます。東京地検特捜部というのは、巨悪をあばく正義の味方というイメージがまだあると思っているようです。個人の感想で申し訳ないのですが、何となくショボい仕事ばかりしているような気がします。

 

最近の東京地検特捜部といえば、日産自動車の会長カルロス・ゴーンを逮捕した事件があります。ゴーン事件の金額の規模は東京地検特捜部が取り扱うには十分の額だったと思います。しかし、逮捕理由が有価証券報告書にウソの記載をしたとする金融商品取引法違反の疑いという、ショボい理由した。このため、裁判所から保釈を認められたゴーン容疑者に、悠々とプライベートジェットでレバノンに逃げられるという国辱ものの失態を演じています。

 

選挙違反で法務大臣の河合夫妻を起訴し実刑判決を得たのは、夫妻が地方議員に配った2900万円という金額から、一見すると大仕事のように見えます。しかし、先日の報道で人口が僅か57万人のワイオミング州での共和党予備選挙で敗れたリズ・チェイニー候補の選挙資金が20億円以上とありました。大統領選ならば数千億円、議員選挙では数百億円の費用がかかり、大富豪が多額の献金をして、大きな見返りを得るアメリカなどと比べるとなんかなぁと思います。

 

河合夫妻の選挙違反では、ウグイス嬢の日当1万5千円超が違法というのもありました。直前に菅原一秀前経産大臣がメロンを配ったというのもありましたし、その前は線香とか団扇とかもありました。何ともいじましいように思います。日本の公職選挙法が悪法なのは、与野党とも一致しているので、もう改正してもいいように思います。

 

身内の黒川前東京高検検事長の仲間内での麻雀賭博を”点ピン”で立件しました。弁当代が5000円で足りるか足りないかという些末な議論の末に桜を観る会を取り上げました。まぁ、違法性があるので捜査し逮捕するというのも良いですが、なんか寂しいです。

 

プーチンは国家元首としては世界一の富豪で、宮殿に住んで、友人たちは今も数十億円のヨットで楽しんでいるようです。習近平氏も隠れた大富豪では家族の対外資産だけでも数兆円単位になるそうです。先日来日したビル・ゲイツは十兆円を超える個人資産があるそうですが、僅かの日本滞在で得た金(の桁)を想像できる人は日本人には少ないでしょう。

 

五輪汚職事件の構図(時事通信社)
五輪汚職事件の構図(時事通信社)

さて、五輪を巡る汚職事件ですが、2017年からの足掛け6年に渡っていますが、報道されている金額を合計してもわずかに1億4千万円のコンサルタント料でしかありません。アメリカのクリントン夫妻の講演料は1回7000万円だそうですから2回分です。

 

仮に何かの口利きをしようとしても、この金額では何かができたとは思えません。なにしろオリンピックというのは、日本に来ても1泊300万円以上するスイートにしか泊まらないオリンピック貴族たちが主催するイベントです。貧乏自慢の日本人には、そもそもオリンピックは向いていないのでしょうね。

 

コンサルタント契約を交わして、実際にコンサルタント会社が絡んでいたとなれば、内容はともかくコンサルレポートのような成果物の提出か、会議への参加などの具体的な活動があったはずです。その対価にいくらの価値があるのかを検察が明らかにすることが可能でしょうか。コンサルタント業務に定価はありません。 

 

何か、東京地検特捜部が日本のガラパゴス化の象徴のような気がしています。