日本における初めての国勢調査(みたいなもの)は、1721年におこなわれています。
1721年は享保5年(ちなみに子年)にあたります。八代将軍徳川吉宗の時代、享保の改革です。江戸幕府は、全国の大名・代官・領主に命じて領内の人口を調べて報告させています。その後は6年に1回、子年と午年に調査をしています。今の国勢調査は5年に1回ですから、まぁ似たようなものです。
世界の国でおこなわれた国勢調査としては、1703年にデンマーク領アイスランドがおこなったのが最初と言われています。
次いで、スウェーデンとノルウェーが1740年におこなっています。
つまり、日本は、世界で最も早い時期に、国勢調査をはじめた国ということです。しかも、日本は、アイスランドなどの国々と比較して一桁大きな人口の国ですから、かなり画期的です。それほど、国勢調査をおこなうのは難事業です。暴れん坊将軍の面目躍如です。
但し、江戸時代の国勢調査にはいろいろと欠陥もあります。一つは、現代のように情報通信が無い時代ですから、紙文書のやりとりです。逸失や取り違えが多数発生しています。さらに、転記するときに間違えることも多く、酷いのは加賀国と能登国の数字を逆に記入するといったことまでありました。
また、当時は子供の死亡率が高いので、領主によって2歳以下とか8歳以下とかは人数にいれないとか、勝手なルールがあったようです。極端な例では、15歳以下を省いた領主までいたようです。
さらに、問題なのは調査されるのは農工商に属する人だけです。士(武士)とその家族の人数は、各藩が把握しているわけなので、調査からは外れています。もちろん、各藩が幕府に自らが抱える武家の人数を正確に伝えればいいのですが、江戸時代の半ばを過ぎても、薩摩藩などはまだ隠そうとしたようです。藩ごとに兵農分離の制度に違いがあるという事情もあります。
そんなこんなで、正確な国勢調査というわけにはいかないのですが、1721年の日本の人口はおよそ2606万ということになっています。誤差は±100万人くらいは、ありそうですが、当時の事情を考えれば立派な調査と言えます。
国勢調査の回答期限は10月7日です。どなたも、お忘れなきよう・・。