最後の晩餐でも13人もいる

人間にとって最も根源的かつ自然的な営みは食事です。人が集まり、同じ食物を分かち合う行為は、古来より重要な意味を持っています。

 

レオナルド・ダ・ヴィンチは、イエス・キリストと12使徒による最後の晩餐を、ミラノにある長い名前の修道院の食堂に描きました。「12使徒の中の一人が私を裏切る」とキリストが予言した時の情景が描かれています。

 

最後の晩餐(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院)
最後の晩餐(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院)

パンとワインを、イエス・キリストの体と血として、共同飲食することを聖餐といいます。キリスト教では、イエスが制定した儀式として、2000年間続いています。

多くの国や地域、そして宗教において、共同飲食は重要な儀式です。日本でも、神社の祭祀の後にみんなで神酒を戴き神饌を食する「直会」をします。

 

文化人類学で、動物と人間を区別するのが共同飲食をするか否かだそうです。実は、人間以外の動物は、同じ食事を分けあう共同飲食をしないのです。

たいていの動物は、我先に餌を取り合います。サルなどは、群れのなかに序列があって、食べる順番が決まっています。たくさんのウマが草を食んでいても、同じ場所で同じ時間に食べているだけで、同じ食事を分け合っているのではありません。

 

コロナ騒動で、会食を禁止している組織は多いです。地方政治家が主導して、会食の人数を5人までなどと制限している地域もあります。しかし、ヒトを人としている、共同飲食=会食を制限することの意味は、思うよりも大きいですし、長く影響を残すかも知れません。