黄金色が風に靡く、麦の秋

すっきりと晴れ渡った青空の下で、収穫間近の麦の穂が風に揺れています。

 

毎年の光景ですが、美しい光景です。麦は収穫のタイミングが難しい作目なので、農家の皆さんは、麦の成熟度と天候の様子を見極めていることと思います。それにしても、麦の秋、麦秋(ばくしゅう)とは、上手いこと言うものです。俳句では夏の季語です。

 

麦の秋
麦の秋

「麦の秋」の秋は実りのことです。麦以外のほとんどの穀物は秋に実り、収穫されます。

 

暑い夏を過ごして秋に実る稲(米)は、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」と詠まれます。みんなに支えられ成長して偉くなった人は謙虚にならないといけないという教えです。

 

これに対して、寒い冬を越して初夏に実る麦は天を向いて実ります。苦しい環境の中、踏まれても踏まれても、懸命な努力を重ねて、ようやく実ったものは、卑屈にならず堂々としているものだという教えです。

 

麦が向いている天には、太陽が、月が、星があります。みんなが麦に向かって、照らし、慈しみ、光ります。山々の緑は、ますます深くなり、季節は夏へと向かいます。

天の営みはいつまでも変わることなく、緩やかに、ときには激しく、回っていきます。

 

いろいろな想いが交錯する5月も終盤ですが、麦のように天を向いて、よい夏を迎えたいと思います。 


中島みゆき「麦の唄」