人はソーシャルディスタンスに適応できるか

ウイルスの飛沫感染を防ぐために、相手と距離を2m(最低1m)取ることを推奨しています。

 

「社会距離」と日本語で言わないで、「ソーシャルディスタンス」と横文字にした理由はよくわかりません。相手との距離は「密接距離」「個体距離」「社会距離」「公衆距離」の4つに分類されることが多く、密接距離は45cm未満、個体距離は45cmから1.2m未満、社会距離は1.2~3.6m、公衆距離は3.6m以上などと定義されています。

 

コミュニケーション
コミュニケーション

45cm未満の密接距離というのは、家族や恋人などとても近い関係の相手との距離です。ビジネスなど社会生活では、密接距離に入ることは、基本的にはありません。というか、入らないように注意します。人は、親しい関係でない人が密接距離に入ってくると、不快や不安に感じるからです。

 

ここで問題となるのは、密接距離の感じ方が人によって、相手によって異なることです。45cmはあくまで、標準的な距離で、あなたと相手の関係では、これが60cmに延びるかも知れませんし、場合によっては1m以上かも知れません。

また、男性は自分の前面の密接距離が長くなり、女性は背面の密接距離が長くなる傾向があります。(ゴルゴ13は例外として、男性は後ろに誰か居てもあまり気にしないのですが、前はとても気になる。逆に女性は背後に誰かが居ることを気にするけど、見えている前面は男性ほどには不安に感じない。)いずれにしても、ハラスメントと言われないように、適切な距離をとる必要があります。

 

密接距離より遠くて、およそ1.2m以内という個体距離は、自分の独立性を維持しながらも、手を伸ばせば相手に触れられるという距離です。深いコミュニケーションを取るには適当な距離となっていました。但し、相手によっては圧迫感や緊張感を持たれる可能性もある距離感なので、コミュニケーションスキルの乏しい人(KYな人など)には難しいところもあります。

コロナ騒動でこの距離のコミュニケーションは、より難しくなりました。

 

意外に遠い 1.2m
意外に遠い 1.2m

社会距離は手を伸ばしても相手に触れられない距離です。公式の場では、これくらいの距離を取ることが多いです。コミュニケーションの相手が誰であっても、この距離感は適応しますから、適度に良い関係を保つにはむしろ良い習慣かも知れません。少なくともコミュニケーションでの失敗は減るでしょう。

 

但し、よくみる折り畳み式の会議机の幅が70~80cmですから、社会距離は思うより遠いのです。このため、場合によると親密さが薄れる分だけ威圧感が増してしまうこともあります。なかなか難しいところです。