正岡子規の桜の歌に新型コロナを思い遣る

「いたつきに 三年こもりて死にもせず 又命ありて見る桜かな」正岡子規の歌です。

 

正岡子規は最近は俳句のほうでおなじみです。プレバトの影響です。「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」ですが、松山の方なので「松山や秋より高き天主閣」のほうがいいでしょうか?有名な俳句は秋の句が多いような気がします。野球好きでも有名ですし、子規=ホトトギスは夏の鳥なので、正岡子規に春・桜のイメージがあまりありません。

 

健康公園の桜(満開)
健康公園の桜(満開)

正岡子規は結核を病んで7年間の闘病の末、34歳で亡くなりました。

子規の桜の歌です。「いたつきに 三年こもりて死にもせず 又命ありて見る桜かな」

”いたつき”は病気や病気の苦労のことです。長い闘病が続くなか3年が過ぎました。また春が来て桜を見ている自分を詠んでいます。

 

近所の健康公園の桜が満開です。健康公園の健康広場にもウォーキングコースにもあまり人がおりません。それでも桜は咲き競っています。

 

結核は日本には12世紀以前にすでに伝わっていたようですが、流行するのは戦国時代以降です。ヨーロッパ人宣教師が来日して結核菌を持ち込んだと言われます。武田信玄や竹中半兵衛が結核で亡くなっています。

 

子規が結核で亡くなったのは1902年(明治35年)のことです。

結核の治療に使われるペニシリンの発見は1928年、ストレプトマイシンは1943年です。日本で結核予防法が成立して、BCGの接種がはじまるのは1951年(昭和26年)です。

このBCG接種が新型コロナ感染症の重症化抑制に効果があるのではないかと言われています。

結核予防法成立の前年1950年時点では、日本での死因1位は結核(2位は脳血管疾患)です。この年、結核で亡くなった人は12万1千人でした。

 

結核予防法から70年です。今の70歳以下の人は多くがBCG接種をしています。但し、我々の時代はツベルクリン反応(ツ反)が陰性の児童が対象でしたから、BCG接種をしていない人もいます。このツ反の感度がどれほどだったかは不安もあります。

 

2018年の統計で、日本では結核で亡くなった人は2303人(65歳以上の高齢者が94%)でした。1年間に結核を発症した人は16,789人(罹患率<人口10万人あたり>13.3人)です。結核も新型コロナと同様に、今の日本では感染しても発症するのは1~2割の人です。よい食事・運動・睡眠に心掛けることで結核を発症しないということです。

 

日本では、結核に感染する人がまだ多いので予防のためにBCG接種が続いています。イタリアやフランスなどヨーロッパの国では、罹患率が10を下回ったためにBCG接種がおこなわれていません。アメリカやカナダなど北米では結核罹患率がもともと高くないようです。

 

新型コロナ感染症のこの先は読めませんが、当たり前に克服していきたいものです。

「三年こもりて死にもせず」は、子規のように後世に残る作品書く才能が無いものには辛すぎます。