新型コロナを機会に、フレーム問題を考える

フレーム問題(フレームは枠=額縁のこと)はロボットやAIに関する重要な問題の一つです。

 

簡単に言えば、AI(人工知能)はフレームの中のことに対処することはできるが、フレームの外で起こることには適切に対処できないという問題です。どんなに優れた人工知能でも、処理能力は有限です。一方で、現実に起こることには無限の可能性があります。人間のような自然知能というか知性は、何らかの方法でフレーム問題を克服しているというわけです。

 

額縁の中のモナリザ
額縁の中のモナリザ

人工知能は、認識できる範囲、フレームの中が世界の全てとみなす「閉世界仮説」によって動作します。

フレーム問題があるので、人類が人工知能に支配されることはないという人がいます。

 

一方で、人類もフレーム問題を克服することはできず、できているように繕っているだけだという人もいます。「雨で濡れたネコを電子レンジに入れた婦人」の逸話などが、典型です。

 

また、現実に起こる無限のことでも何らかの基準で重みづけをすることは可能なので、人工知能はフレーム問題を容易に克服できる(あるいは既に克服している)とする人もいます。

なかには、人工知能の演算能力の増加は無限に可能なので、人間が克服できる程度のフレーム問題は克服できるとする人もいます。

 

人は語ることができること以上に知ることができます。それぞれの人や組織が、フレームにとらわれないで、解決策を見出していくことが大切だと思います。

新型コロナウイルスによる世界的な混乱は、人類がフレーム問題を克服できるのかということかも知れません。フレームの外で起こっている無限のできごとを正しく認識して、対処できるでしょうか。人類の叡智が試されていると言えます。