新型インフル特措法改正はかなりの無理筋

新型インフル特措法は平成25年に施行された法律で、緊急事態宣言を発令することできます。

 

これまで、一度も緊急事態宣言は発令されたことはありません。今回、この法律を改正して、新型コロナ感染症でも緊急事態宣言の発令を可能にしようという動きがあります。どうも旧民主党系野党、特に立憲民主党も改正に積極的なようです。しかし、大幅な私権制限が可能になる緊急事態条項を含めた特措法を改正して適用するのは無理筋な気がします。

 

インフルエンザウイルス
インフルエンザウイルス

日本では例年1000万人以上が季節性インフルエンザに罹患しています。インフルエンザによる直接の死者は300~2000人ほどですが、超過死亡推計によるとインフルエンザで亡くなる人は毎年1万人以上です。

 

新型インフル特措法が想定しているのは、過去のある種の鳥インフルエンザのような強毒性インフルエンザの爆発的な感染拡大です。

日本人の25%(約3200万人)が罹患して、100万人が入院して、30万人が亡くなる(致死率1%)といった事態を想定した法律です。季節性インフルエンザの3倍の人が罹患して、30倍の人が亡くなるということです。この場合、感染のピークには国民の20~40%は仕事に行けなくなります。経済的な損失は10兆円の規模になります。

 

このような事態が想定されるならば、緊急事態宣言を発令して、国民の権利を制限することも止むを得ないかも知れません。しかも、インフルエンザの場合は流行のピークは10日ほどで感染が続く期間も1ヵ月余りと想像されています。

 

今回の新型コロナウィルス感染症をこの法律を改正して、緊急事態宣言を可能にするというのは、やはり無理筋な気がします。新型コロナウィルスを甘く見ているわけではないのですが、想定して状況があまりにも異なります。