巷で流行る”ナッジ理論”とやら

本当は特に目新しくもないのですが、”ナッジ”とか”ナッジ理論”が持て囃されています。

 

2017年のノーベル経済学賞をアメリカのリチャード・セイラーが受賞しました。セイラーは行動経済学を研究する学者で、行動経済学を実用的に役立てるというのが”ナッジ理論”です。 ナッジ(nudge)は「そっと後押しする」という意味の英語です。人の行動を好い方向(ここがちょっと問題ですが・・)に、気づかれない程度に後押しするのです。

 

 

便器のハエ(シール)
便器のハエ(シール)

ナッジ理論で有名なのが「便器のハエ」です。便器にハエのシールを貼ると、人間(男性)は的に当てたいという気持ちになるので、オシッコがその周辺に向かいます。便器の周辺に飛び散らないので、清掃費用が80%(ホンマかな)も削減されるのです。

最初はアムステルダム空港で行われて、効果が高いのでヨーロッパ中の国際空港にあっという間に広がったそうです。日本でも空港や高速道路のトイレでよく見かけます。

 

 

ナッジ理論の実例は昔からいろいろあって、気づかないうちに使っていたり、使われていたりします。ちょっと載せときますから、ビジネスの参考にしてください。

 

・値段は松竹梅にして竹に誘導する。「松 5000円」「竹 3000円」「梅 2000円」のうな重があると、「竹 3000円」が一番売れます。

・ランチでは「本日のおすすめ」というメニューが一番売れます。

 

・「素敵なドレスです。いかがですか?」という売り方より、「二着とも素敵ですが、どちらにしますか?」とお客に選ばせる方法があります。もう少し強引には「素敵なドレス、どこでお召しになりますか?お直しはいつまでにいたしましょうか?」というやり方も効果的です。

 

・「無料のくじ引きです。当りは現金2000円。外れはスナック菓子。くじ引きに参加しない人には1000円分の商品券を差し上げます。」合理的な判断はくじを引くことですが、多くの人は1000円の商品券を失うことを避けてくじを引きません。

 

・「この地域の人の90%が期限内に納税しています」というチラシを配ったら、期限内に納税する人がグッと増えたそうです。健康診断で「2年連続で受診された人の90%は翌年も受診しています」と、よく考えたら当たり前のことをチラシに載せたら、2年目の健診率が上がったりします。

 

・企業診断で「同業者の平均コストは月に25,000円、御社は30,000円ですね」と言われたらコストダウンせざる得ないです。

 

・今風では、「本日2%値引き」より「消費増税分を当店が負担」のほうが売れ行きはよくなります。~但し、この売り方は違法です。

 

あまり流行ると、詐欺などに悪用されそうな心配もあります。