今日の発表で約6000人の芸人と「共同確認書」を書面で交わすと発表しました。
どうも、契約書の名称が「共同確認書」という発表がよくわかりません。
「請負契約書」あるいは「委託契約書」だと一般的でしょうか? 「専属契約書」とか「役務提供契約書」とかになるのかも知れません。「共同確認書」というのは、課税文書となって印紙税の対象になるのでしょうか?
印紙税法ではタレントの請負契約は課税2号文書となると思われます。
2号文書 [請負に関する契約書]
工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など
(注) 請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。
記載される契約金額によって、印紙税の納付が必要です。100万円以下なら200円からはじまって、順次高くなって、1億円~2億円なら2万円の印紙税です。一般の営業取引の領収書でも5万円を超えれば200円の印紙を貼りますから、多くの人にとって印紙税は身近なものです。
印紙税による国の収入は毎年減っていますが、それでも約1兆円です。国にとって重要な財源であり、多くの国民はきちんと納付しています。一方で、税金のなかでも一番払いたくない税金でもあります。課税される根拠が腑に落ちないことが原因です。もともとが、税収不足の時代に無理やり作った制度という印象です。
吉本興業は契約書をつくっていなかったので、契約に際して印紙税を納付していないと思われます。印紙税逃れをすることも、契約文書をつくっていなかった理由の一つだったと疑われます。まじめな納税者からみれば、これも立派な脱税?のような気もするのですが・・?
ややこしいのは契約自体は、契約書に印紙が貼っていなくても成立することです。印紙の有無は契約の効力に影響しません。しかし、印紙が貼っていない契約書は違法なので、ばれると過怠税として3倍の金額を課されます。正直に言えば、3倍の過怠金も大したことはないのですが、遵法精神からきっちり印紙を貼っております。
印紙税に関する国税庁の査察は、ときどきニュースになります。金融機関が指摘されるケースが多くて、数千万円の過怠税を納付するような事案もあります。しかし、そんな会社はけしからんと世論が盛り上がることはないように感じます。お気の毒に・・って感じです。
まぁ、これまで真面目に印紙を貼り続けていた者としては、税の公平のために吉本の「共同確認書」は課税文書としてきっちり印紙を貼って消印を押してもらいたいと思います。