「安倍改憲に勝つ」は中高年のノスタルジー

今日は憲法記念日です。10連休の折り返し、多くの日本国民は全く忘れていたことでしょう。

 

私も読売新聞の朝刊に1面のド派手な意見広告があったので、そうか憲法記念日かと思った次第です。ちなみに日経新聞にはありませんでした。産経新聞にはどうだったのかな?

この新聞広告を見て気づいたことは、改憲に反対するというのは、中高年(団塊世代+新人類の一部)世代のノスタルジーなんだろうなぁということです。

 

憲法記念日の新聞意見広告
憲法記念日の新聞意見広告(2019.5.3)

そもそも、「安倍改憲に勝つ」という無茶苦茶な論理構成です。支離滅裂で常識的には成り立たない理屈でも、一部の中高年は言いたい(アジりたい)、そして権力と戦いたいのです。

 

現代日本の政治構造では首相の権力はそれほど大きくないのですが、戦う相手は安倍しかないのです。結果として、安倍ブランドを高値にしているのが彼ら彼女らの中高年左翼ということになります。

 

反安倍は、あの「70年安保闘争」へのノスタルジーなのでしょう。若かったあの頃、学生運動に明け暮れた自分の崇高な姿を、中高年になった今でも、もう一度取り返したいと思っているようです。

安倍改憲との戦いは、分別を持っているはずの中高年が(20歳前後の学生でもあるまいに)、ただ自分に酔っているだけの姿を若い世代に見せつけることになることに気付いていないのです。

 

70年安保闘争のときには、自分で稼ぎもしない学生(当時は大学進学率が低く、有名大学の学生は一般の人から見ればエリートでした)が、何を偉そうなことを言っているのかと反感を持たれました。本当に戦った学生(全学生の15%と言われますから、同世代の5%強)は、今は語ることがありません。ノスタルジーに浸るのは、そのときは周りにいた人々です。

この70年安保闘争の結末は、社会党の没落と自民党佐藤栄作首相の長期政権となり、その後20年近い自民党一強時代(田中角栄から中曽根康弘くらいまで)につながったことを忘れてはいけません。

 

安倍首相はわざと改憲を旗印にしていると思われます。

本来は、左翼的な考え方の人ほど、改憲を唱えるべき理屈を基盤に持っているわけです。日本国憲法の改正を左翼が反対するということを論理的に説明できる学者はいないでしょう。

 

そこで、「安倍改憲に勝つ」というスローガンになります。この言葉で戦っている以上、反安倍側が勝利を得ることはありません。

裏返せば、改憲できなかったからといって、安倍政権は負けるわけではありません。現存する世界最古の法典である日本国憲法、世界で最も短い憲法でありどうとでも解釈できる日本国憲法がそのまま残るだけです。何も痛痒も不便も感じることはありません。

 

一方で、反安倍勢力は髙転びに転ぶ可能性があります。自分が拠って立つべき原理原則を棄てて、反安倍とか護憲とか叫んでいるわけですから。 この矛盾を解消するリスク(あるいはコスト)をどこかで受け持つ必要があります。

 

安倍首相は、今日のビデオメッセージをみると、この絶対に負けない戦いをこの先も粘り強く続けていくつもりです。それが、長期安定政権への確実な方法だと知っているようです。