児童虐待防止・・民法改正まではすべきでしょう

千葉県の小学4年生の女児が父親(母親も?)による虐待で死亡しました。

 

児童虐待そのものを測ることは難しいのですが、児童相談所が相談に対応する件数は大きく増加しています。今回の事件では、児童相談所や教育委員会の対応の拙さも指摘されています。児童虐待の未然防止が大きな社会的関心となっており、今国会でも厳罰化などの対応をしようという議論が活発です。

 

児童相談所 児童虐待相談件数
児童相談所 児童虐待相談件数(厚労省統計)

児童虐待の相談件数が約13.4万件にもなるというのは、1年間に生まれる子供が100万人を下回っている現状からして異常です。

 

これは全国210の児童相談所が1年間に相談対応した件数ですから、児童虐待そのものがこのグラフのように増えているというわけではないことは少し注意が必要です。実はこの年の相談対応件数の半分近くの6.6万件は警察からの通告です。

児童虐待の実態としては、0才児が被害者になるケースが圧倒的に多いです。予期しない妊娠・出産が契機になる場合があります。

 

さて、民法に親の懲戒権(第822条)があるものを廃止しようという機運です。時代錯誤の条文ですから、是非とも廃止して欲しいです。

 

民法(明治29年4月27日 法律第89号)

(親権者)

第818条:成年に達しない子は、父母の親権に服する。

(監護及び教育の権利義務)

第820条: 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

(懲戒)

第822条:親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。

 

飲酒運転と同様に、児童虐待も厳罰化すれば減るという議論もあるようです。少し乱暴すぎるとは思いますが、一理はあるかも知れません。しっかり検討して欲しいものです。

 

刑法(明治40年4月24日 法律第45号)

(傷害)

第204条: 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

(傷害致死)

第205条: 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

(遺棄)

第217条: 老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。

(保護責任者遺棄等)

第218条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)

第219条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。