利益が出るからモノを買って節税するのは間違い

「今期は利益がたくさん出るから節税のために期中に何か買おう」と考える事業者さんは意外に多いものです。この考え方は、弊害が大きく利益は大してありません。

 

わかりやすく、100万円の税前利益が出ると予想されたとします。実行税率は約22%ですから、22万円も税金徴収されます。そこで、パソコンとプリンターを購入して50万円使ったならば、利益が50万円に減って、支払う税金は11万円となりました。

 

お金(本文とは関係ありません)
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11万円も節税出来て、お得だったと考えてよいものでしょうか?

問題は、そのパソコンとプリンターが絶対に必要なものだったかどうかです。また、仮に必要だったとしても、購入したものほどの性能が必要だったかということも考えなければなりません。

 

もし、絶対に必要なもの・機能であったとすれば、今期に慌てて買わなくても期が代わってからでも購入したはずです。

つまり、来期も同額の100万円の税前利益が出ると仮定すれば、パソコンとプリンターの購入がない分だけ、来期に支払う税金が増えることになります。今期に節税した分だけ、来期に税金が増えるのであまり意味がないですよね。

さらに、慌てて購入したパソコンとプリンターですから、いろいろと不具合が発生するかも知れません。もしそんなことがあれば、無理に経費を使うことには何もメリットがありません。

 

もし、絶対に必要なのではないのだが、節税にもなるから、とりあえず購入しておこうということならば、もっとやめた方が賢明です。

もしその購入をしなければ、100万円から税金22万円を除いた78万円のキャッシュが手元にあるはずです。ところが、50万円でパソコンとプリンターを買うとキャッシュは39万円が残るだけです。経営者ならすぐにピンと来るでしょうが、事業に最も必要なのはパソコンやプリンターではなくキャッシュです。有事の際に頼りになるのはキャッシュだけです。

 

もっとやってはいけないのは、中古のクルマを購入して減価償却費で利益を圧縮しようというような考えです。固定資産の減価償却費は使用期間で控除されるので、仮に2年で償却できる中古車を1月に200万円で購入しても、償却費で計上できるのは200÷2×3/12=25万円です。計算上は5万円余りが節税出来て、120万円のローンが残ったなんてことになると悲しいですよね。

不毛なことを考えるのではなく、しっかり稼いで、どんどん儲けて、法律通りの税金を笑顔で納めることが会社を発展させる道です。