メディアがジャーナリストの自己責任論を取り上げる不思議さを

日曜日朝のテレビ番組で、シリアで解放されたジャーナリストが取り上げられていました。

 

まとめると ①ジャーナリストとは隠されているものをあばくのが使命、②そのためには危険なことにも飛び込む、③危機に瀕したらそれを助けるのは国の使命、これを否定するような論調は”悪”という主張です。大手メディアさんが言うと違和感があります。

 

国境なき記者団Webサイトより(2018.10.28現在)
国境なき記者団Webサイトより(2018.10.28現在)

まぁ、言いたいことはわからないでもないのですが、ちょっと不思議です。

 

今回の事件も含めて、拘束されたり殺害されたりする日本人ジャーナリストの多くがフリーランスなのは何故でしょか?

大手メディアの所属で拘束されたのは、韓国朴槿恵政権下の産経新聞のソウル支局長とか北朝鮮でスパイ容疑で拘束された日経新聞の記者とか、いなかったわけではありません。しかし、中東などの紛争地域で拘束されるのはフリーランスばかりのように見えます。

 

国境なき記者団(このNGO自体もちょっといかがわしいのですが、他に情報源がわからないので)のWebサイトによれば、2018年に殺害されたジャーナリストは61人(他にブロガーなどの市民ジャーナリストが11人、エンジニアなど関係者が4人)となっています。

もっとも多いのは内戦が続くアフガニスタンの14人です。アフガニスタン自国メディアの記者が亡くなるケースがほとんどで12人を数えます。海外メディアでは英国BBCと仏国AFPという大手メディアの2人が犠牲になっています。

 

正確に調べられませんが、日本人以外の殺害や拘束されたジャーナリストは大手メディアに所属(正規社員かどうかはわかりませんが、フリーランスではない)しているケースが多いようです。大手メディアの場合は、人的資源や資金などがあって、現地のネットワークが活用できると予想されます。それでも、犠牲になる場合があるわけです。

また、欧米人でもフリーランスに属する人が犠牲になるケースはあるのですが、純粋なジャーナリストではなく活動家(何らかの背景を持っている人)を兼ねている人が多いようです。

 

そこで、疑問なのは日本の大手メディアはどうやって取材をしているのだろうか?ということです。まさか、自らは危険なことには飛び込まず、無謀なフリーランスを単身送り込んで、うまくいけば情報だけを安く入手しようとしているということはないでしょうね?

 

多くの日本人が懸念しているのは、リスク管理ができないフリージャーナリスト(今回の人は拘束歴が6回目だそうです)が、テロリストの人質ビジネスに利用されて、日本が資金源になることです。つまり、簡単に捕まるような人は行かないで欲しいということです。

 

リスク管理ができる(人質保険なんてものもあるそうです)大手メディアが、しっかりした体制で取材をして情報を流してくれるのが希望です。それならば、フリーの方が1人で危険に飛び込んで、あっという間に捕まる必要は無いわけです。もちろん、日本がテロリストの資金源になることもないです。

取材は俺たちがきっちりやるから、1人で無茶な取材をするな!と言って欲しいです。

 

また、日本政府に対して今回の解放に関する情報開示を求めるようなことも言っていますが、そんなことをすれば次に起こるかも知れない拘束や人質事件でのリスクを高めることは必定です。自らは取材に赴く気がないと宣言しているようなものです。

隠しておいたままで暴いてはいけないこともあるのです。