少子化対策に出産奨励金は効果があるとは思えない

出産奨励金でなくて出産祝い金と言い換えますが、現金給付はいかがなものでしょうか?。

 

合計特殊出生率(一人の女性が産む子供の数の平均)を都道府県別にみたとき、1位は沖縄県で2位は島根県、3~7位に九州各県が入り、8位が福井県・9位が香川県、以下佐賀県・鳥取県・長野県・福島県と続いて、14位が山口県です。

 

都道府県別合計特殊出生率
都道府県別合計特殊出生率

沖縄県はいろいろ特殊事情があるのですが、何となく地方にいくほど出生率が高いような気がしますね。

 

一方で、逆から順位をみると、47位が東京都で、46位が北海道、以下宮城県・京都府・千葉県・神奈川県・奈良県・埼玉県・大阪府と続きます。

都市部で出生率が低いのは何となくわかりますが、北海道と宮城県が名を連ねているのが少し不思議ですよね。これは、実は北海道や宮城県は、人口が都市部に集中しているという事情があるのです。北海道の場合は札幌都市圏など都市部人口が75%、宮城県は仙台都市圏などで60%です。

 

都道府県別人口集中地区人口%と合計特出生率
都道府県別人口集中地区人口%と合計特出生率

ごく大雑把にいえば、合計特出出生率が高くなる条件は以下です。

①人口集中地区(都市部)以外に住んでいること。・・要するに田舎。

②世帯年収が多くないこと。

③女性(母)の就労率が高いこと。 

 

女性の就労率は都会ほど低くなります。これは男性の所得が高いことと、保育所など子育てを家族以外でおこなうことのコストが高いことが要因です。保育所のコストが高いのも、女性の就労率が低いことが一つの原因です。

ちょっと不思議なのですが、女性の就労率が低い地域ほど出生率も低くなります。

地方は男性の所得が高くないので、女性が働くケースが多いのですが、都会と逆の因果関係で子育てコストが割安です。

 

簡単に考えれば、少子化対策は都市部への集中から、地方の多様性を活かす方向への転換が最も効果的です。また、地方の中でも中核市構想やコンパクトシティといった考え方でなく、できるだけ分散した居住を考慮するのが効果的でしょう。