働き方改革の目玉は同一労働同一賃金です。このところ、若干トーンダウン気味でしょうか。
同一労働同一賃金の意味をよく考えないといけません。
Aさんは、8時間かけて10の価値がある労働をして、8000円の賃金を得ています。
Bくんは、8時間かけて8しか仕事がすすまないので2時間残業して10の価値を上げています。賃金は、8000+2000×1.25(割増)=10,500円です。
会社としては、18,500円をかけて20の価値を得ている計算です。
AさんとBさんの労働価値は同一ですが、賃金は2500円もBくんの方が高いです。これって、合理的なのでしょうか?もし、Aさんがあなただったら納得がいきますか?
まぁ、実際の会社では、この手の話が最も多いのではないかと思います。
もし、この会社が「働き方改革」と称して時間外勤務を無くしたらどうなるでしょうか?
Bくんが創出する価値は8に減りますから、会社が得る価値は18になります。
もし、上司が20のアウトプットが必要と考え、Aさんはどうしても定時に帰らないといけないとなると、恐らくAさんがねじり鉢巻きで12の仕事を8時間でやり切るようになるでしょう。
まぁ、これもよくあることです。しかし、Aさんの賃金が増えることはありません。
会社は16,000円をかけて20の価値を得るのでお得です。
この状態を続けるとAさんは疲労が蓄積してきて、パフォーマンスが落ちてくるかも知れません。そのときに、Aさんにペースダウンをしてもらって、2時間残業して12の価値を創出してもらうことができれば、合理的な解決策になります。
会社としては、最初と同じで18,500円で20の価値になりますが、AさんとBさんの関係で言えば、パフォーマンスの高い人の賃金が多くなるので少し健全な状態です。
しかし、Aさんは残業したくないので、これは無理なことかも知れません。
教科書的に言えば、Bくんの生産性を高めて、Aさんと同じように8時間で10の仕事ができれば解決します。でも、実際の会社で、人の能力が急に2割も上がることはないですよね。
そこで、現実的な解決策を考えないといけません。
例えば、20の仕事のうち1割や2割は実際には必要が無いとか、他の部門に任せたほうが効率的とか、仕事の棚卸で解決するかも知れません。
大きな会社では、この仕事ではAさんと同じ能力があるCさんと、ほかの仕事に向いているB君を入れ替えるかも知れません。
知恵を絞ってみるしかないですね。