シェアハウスとスルガ銀行の先行きよくわからない

スルガ銀行は2018年3月期の決算発表をしたのですが、どうもこの先がよくわかりません。

 

ご利用は計画的に・・
ご利用は計画的に・・

本件をまとめると、以下のような事案です。

 

発端は、不動産会社スマートデイズの経営破綻です。この会社は、2012年に資本金300万円で設立された新しい会社です。

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」という事業を展開していました。

 

この仕組みは、以下です。

スマートデイズが購入した土地に、スマートデイズがシェアハウスを建てて、これを購入するオーナーを募集する。

オーナーには資金力のない会社員や個人事業主などが多い。

スマートデイズはメインバンクであるスルガ銀行から融資を受けることを進める。

スルガ銀行の金利は高いので、オーナーは逡巡するが、スマートデイズはオーナーに30年間完全定額家賃保証をする。

オーナーとしては、家賃保証で金利を払って返済もできる。つまり、必ず儲かるという話なので多い人では5億円もスルガ銀行から借りて契約をした。

 

この流れで、4年間に900棟近くの「かぼちゃの馬車」が建った(オーナーは700人余り)のですが、結局のところ入居者が埋まることはなかった。入居率は40%くらいだったそうです。1棟20室がまるまる空室という例もあったとか。

スマートデイズは管理料が入らないので、今年の1月に賃料改定をして、オーナーへの家賃保証を廃止した。

オーナーはスルガ銀行から借りていたお金を返せなくなって、自己破産せざる得ないという事態になった。

 

法的に詐欺罪が成立するかどうかは知りませんが、スマートデイズとスルガ銀行の行動は、詐欺的であることは確かです。

 

スマートデイズは、4月に民事再生を申し立てたのですが棄却され、先週15日に破産手続きが開始されています。スルガ銀行には金融庁が調査というか指導というかするそうですが、詳しくはわかりません。

 

やはり問題になるのは、スルガ銀行が、本来であれば貸してはいけないような借主にもお金を貸していたということです。しかも、その手口が借主の預金通帳の写しの数字を改竄して審査を通すといった、ちょっと信じ難いものでした。しかも、このことを全行員の10%以上が知って(やっていた)いたという話です。

 

そのスルガ銀行の2018年3月期の決算発表がありました。一般の会社で言えば増収減益決算ですが、悪い業績ではありません。経常利益290億円(前期570億円)、純利益193億円(417億円)です。更に、2019年3月期予想も増益で出ています。

不良債権(金融再生法開示債権)は290億円から722億円に増えていますが、保全率は72%あります。自己資本比率も12%超で、決算だけ見れば安泰のように思われます。

 

一方で内訳は不明ですが、スルガ銀行のシェアハウス向け融資は2000億円超に上るということです。日経新聞などでは、スルガ銀行の経営破綻懸念という記事も出ています。

当分、注目です。

 

最後に、一番の被害者はシェアハウスの入居者さんです。電気水道などが止められそうな状況だそうです。この人たちは、安い賃料に惹かれて入居しているわけでしょうから、簡単には転居できないです。今の状況は不安です。敷金礼金も戻りそうにありません。ケアが必要です。

 

毎度の教訓ですが、誰かに楽して儲かる方法を紹介されたとしても、ご用心!ご用心!