【日曜連載】中小企業診断士試験合格への道標⑱

連載第18回目です。1次試験の「経済学・経済政策」の3回目です。

 

今年の中小企業診断士試験の受験申込が始まりました。

申込受付期間は、5月31日(木)までです。

☞ 平成30年度中小企業診断士第1次試験受験申込み

早めに手続きしましょう。

 

私は当時東京にいたので、仕事のついでに有楽町に行ったときに診断協会の事務所で申込書をもらって帰りました。

郵送で入手する場合は、24日までに依頼することになっているようです。何にせよ、早めにしましょう。

 

さて、「経済学」の受験対策です。

繰り返しになりますが、経済学の試験はほぼ4択です。昨年の試験では、5択が5問で4択が20問でした。全25問で配点は全て4点です。

つまり、でたらめにマークしても1/4で25点はとれるはずです。

25問のうち10問が知っている問題であれば、残り15問が曖昧でも60点とれます。

5問が知っている問題なら、足切りになる40点未満になる危険性はほぼありません。

 

経済学は苦手な人も多いと思いますが、これくらい気楽に考えて受験してもいいと思います。

得意分野の知識問題で点を稼ぐってことです。

と、言うは易しなんですが、経済学は範囲が広いので思いのほか時間はかかります。だって、工学とか理学、法学とか文学という科目で試験を受けるようなものです。

 

さて、今日はリラックスできるように、昨年の試験問題から自分なりに正解率が高かっただろうと予想される問題(つまり、簡単な問題)を紹介してみましょう。

逆にプレッシャー掛けていますかね?

 



恐らくですが、これが昨年の問題で最も回答が容易な1問だったと予想します。

 

正解は「イ」ですね。経済学の問題というより、日常生活で新聞やテレビなどを眺めていれば解答できそうです。

 

年代別貯蓄額
年代別貯蓄額

ア 年代別貯蓄額が高齢世代ほど高いということは、新聞などで繰り返し取り上げれています。この貯蓄を消費に回してもらうというのが、経済活性化のテーマです。

右のグラフのように、男性では70歳代・女性では60歳代の貯蓄額が最も高くなっています。アを選択した人は少ないでしょう。

 

イ GDPは国内総生産ですから、労働人口が減れば減少することが予想されます。高度経済成長の時代は労働人口がどんどん増えていました。日本のGDPを維持あるいは増加させるためには、女性や高齢者の就業率を上げて”労働人口をできるだけ減らさない”ことに加えて、IT化や設備投資を促進して”生産性を高める”の二つが必要です。

これが正解です。

 

ウ 所得再配分というのは、所得の低い人や世帯に所得を配分して、全体としての格差を是正するということです。方法としては、一般に税と社会保障の2つがあります。

高齢者の人口増加は、医療給付の増加にストレートに結びつきます。所得のある人や世帯が保険料を負担して、所得のない高齢者が給付を受けるわけですから、所得再配分効果は大きくなっています。保険料も上がっていることも影響が大きいです。

高齢化と所得再配分効果の縮小にどちらもネガティブな要素を感じて、ウを選択する人もいたかも知れません。

 

エ 日本の年金が積立方式ではなく「賦課方式」であることもよく話題になります。年金支給のために必要な財源は、その時々の現役世代の保険料収入が充てられます。

インフレが進む時代には、積み立て方式はよほど適切な運用ができなければ積立金が目減りするようになるので、不利でした。ところが、デフレ経済の下で少子高齢化が進むと、賦課方式では支えきれなくなっています。

積立方式と賦課方式はよく話題になるので、ほとんどの人が知っていると思います。 

 

さて、この問題では、アで高齢者の貯蓄額が大きい(ストックが大きい)ことに気付かせ、

イで今後の国内総生産を維持するのが難しいと暗示し、ウで貯蓄の多い高齢者に医療給付などで所得再配分され、エで年金制度は現役世代が支えていることを指摘しています。

そういう意味では、深~い!話なんですね。

 

まとめますと、経済学で足切りは心配しなくていい。興味のある分野に関して出題される知識問題を押さえて点数を稼げば、合格につながる可能性は高い。となりそうです。