【日曜連載】中小企業診断士試験合格への道標⑯

連載第16回目です。今回は、「中小企業経営・中小企業政策」の2回目です。

 

ビジネス資格に兆戦
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「中小企業経営・中小企業政策」は、テキストに加えて、中小企業白書と中小企業施策利用ガイドブックを読んで理解(暗記)しておくのが基本的な勉強法です。

 

 

多分、これ以外の勉強法はありません。丸暗記するつもりで丁寧に読むことです。

 

但し、勉強するのにまとまった時間は要りません。

毎日の隙間時間をうまく活用しましょう。

 

前回書いたように資料はウェブサイトに全文公開されていますから、公共交通機関で通勤されている若い方ならスマホの画面でちょっとずつ読んでいくのでも構わないと思います。

一般常識でもある程度は解けるとは考えずに、読んで素直にそのまま覚えるというのが正しい勉強法です。

 

それでは、昨年の問題から特徴的な2題を取り上げてみます。

 

最初は、第13問です。

 



いかがでしょうか。正解でしたか?

 

ざっと見た感じですが、昨年の問題のなかでは突出して簡単な問題です。恐らく、90%以上の受験生は正解だったと思います。間違う人はいない問題です。

 

しかし、一般の社会人の方だと、経営者でも企業幹部でもなかなか正解できないのではないでしょうか。つまり、この科目の問題は、覚えていなければ解けない典型のような問題です。

 

とにかく、隙間時間を見つけてテキストと資料を読んで覚えましょう。

 

中小企業基本法における中小企業者の定義は上の表です。(中小企業庁のウェブサイト)

資本金で3億円・1億円・5000万円の境目があります。従業員数で300人・100人・50人の境目です。このマトリックスは必須項目ですね。

私が勉強したノートを見ると、裏表紙に赤字ででっかく書いていました。

 

この問題では、”ウ”の、2億円・200人の運送業が中小企業者ということになります。

 

それでは、次の問題です。



この問題は難問です。

正解率が偶然の確率20%を下回っていたのではないか?という疑問すらあります。

 

何故に難問かと言えば、中小企業白書2016では製造業と非製造業とで分けた分析はありますが、非製造業を卸・小売業とサービス業と分類した記述はありません。また、財務省の法人企業統計でも概要版では製造業と非製造業で分けてあるだけです。

 

ここには、自己資本比率は製造業が非製造業より高いということが書いてあります。

これは、受験生のほぼ全員が持っている知識ですから、アとオが間違いであることは明らかです。したがって、イ・ウ・エのなかに正解があります。1/3=33%ですよね。

 

この場合、製造業>非製造業という絶対に間違いのない知識から、多くの人がエを選択しそうな気がします。たぶん私もそうすると思います。

ところが、正答は”イ”の卸・小売業が最も低い、なんですね。

結果として、正答率は33%を下回って、下手をすると20%にも達さないかも知れません。

 

 

 

つまり、非製造業と言ってもサービス業と卸・小売業では自己資本比率に差があるということです。この試験から1年経っているので、翌年(2015年)の法人企業統計のデータで紹介すると、全産業の自己資本比率は38.9%。製造業は45.3%、サービス業は45.7%(製造業より高いです)、卸・小売業は32.7%でした。

 

言われてみると、そうなんだなぁと思うものの、この問題は正解できるかは運かなぁ?と思います。こんな問題もある。ってことです。

 

さて、最後に余談ですが、「中小企業経営・中小企業政策」は2日目の最後の科目です。試験時間は90分で42問あります。問題数は多いのですが、知らなければ解けませんし、あれこれ思い悩んでも正解するとは限りません。このため、時間がすごく余る可能性があります。

 

試験開始から30分で退出できるので、早く帰りたい人はどんどん退出します。逆に、最後の試験で疲れ果てていて、机に突っ伏して寝てしまう人もあります。

そのなかで、廻りを気にせず、冷静に記憶を掘り起こして、1問でも正解にたどり着くことが合格への道です。