連載第10回目です。一巡したので、再び1次試験の「経済学・経済政策」について書きます。
今年の試験を受ける予定の方から、どうしても「経済学」が難しいという話がありました。IT技術に詳しい方で、経営情報システムなどは今の時点でも満点近くが計算できますし、他の科目も順調のようです。
はっきり言って、大学で経済学とか経営学とかを勉強した人を除けば、「経済学・経済政策」は40点を下回らなければOKと思った方がいいです。
経済学部などの出身者には、問題のレベルは教養課程くらいですから、この科目で点を稼ぐことは可能です。しかし、それ以外の方は、この科目にはあまり勉強に時間を掛けないほうがいいでしょう。
経済学は、かじってみると面白いので、のめり込んでしまいがちです。実は、私もついつい経済学系の本を買って読んだりして、時間を潰してしまいました。経済学の広大な学問領域に踏み込むのは、試験の後でもいいでしょう。
前回(連載3回目)書いたように、試験に出る用語(ポケットテキストに出ている用語)の定義を確実に押さえる。試験に出る”図”をノートに書いて、用語の意味するところを理解する。
ここまでで、40点を確保することは十分可能です。
そこから、もう少し頑張って、2回に1回は60点超えが狙えるくらいの勉強量が適当だと思います。~個人の感想です。責任とりません。~
さて、昨年の問題のなかに「ゲーム理論」が登場しています。ゲーム理論は、このブログ記事でも何度か取り上げたように、診断士がよく使います。しかし、私が使った受験用テキストにはゲーム理論は出てきていません。
こういう場合、この問題を棄てるのも一つの戦略です。少なくとも、後回しにするのは正しい判断だと思います。
ただ、テキストに出てこないような問題だとすると、慌てずに問題文だけ読めば答えが分かるのかもしれません。できる問題を答えた後に、落ち着いて取り掛かるといいでしょう。
どうでしょうか? 私なぞは、最初に解答aの「支配戦略」とか、bの「ナッシュ均衡」とかの用語に目がいきます。この用語の定義を知らないので、その時点で諦めそうです。
まぁ、それでもチャレンジしてみましょう。
問題から分かるのは、夫の趣味は水泳、妻の趣味はジョギング。
夫の利得(≒満足度)は、一人で水泳すると10で、妻が付き合ってくれたら30。そのときの妻の利得は15。<妻は自分の趣味であるジョギングを一人ですると12。>
妻の利得は、一人でジョギングすると12で、夫が付き合ってくれたら30。そのときの夫の利得は15。<夫は自分の趣味である水泳を一人ですると10。>
それぞれ、自分の趣味でないことでも一緒にやると満足度が高まる(つまり楽しい)わけですから、とても仲のいいご夫婦だということですね。
さて、それぞれの解答を見てみましょう。
a は「支配戦略」の意味が分からないので、とりあえずパス。
b は「ナッシュ均衡」の意味はわからないのでパスするとして、せっかく一緒に水泳をするのを止めれば満足度は下がるので、前提になる文章は正しい。
c も「ナッシュ均衡」をパスして、自分の趣味を一人でするより一緒にするほうが楽しいのですから、前提になる文章が間違っています。
d は夫が妻に従う。つまり二人で一緒に楽しむことが、一人より満足度が高いのですから、この回答は正しいですね。
ということで、cは間違っていて、dは正しいということまでは、学問的な知識が無くても分かります。したがって、イのaとd、エのbとd のいずれかが正解です。
まぁ、後は運試しということでもよいのではないかというのが、私の意見です。
尚、正解は、エのbとd でした。まぁ、bのほうが前提までが正しいので、イとエならエを選びそうな気がしますが、試験の場では分かりませんね。
さて、用語の定義ですが、ネット辞典によると、「支配戦略」:他のプレイヤーがとる戦略の組のすべてに対して最適反応となっているような戦略。「ナッシュ均衡」: 各プレーヤーが、互いに対して最適な戦略を取り合っているという状況。とあります。
はい。やっぱりよく分からないので、これ以上はパスしときましょう。
「経済学・経済政策」の勉強は、これぐらいの感じでいいんじゃないかなぁと思います。