【日曜連載】中小企業診断士試験合格への道標⑦

連載第6回目です。今回は、1次試験の5つ目の科目「経営法務」について書きます。

 

ビジネス資格に兆戦
ビジネス資格に兆戦

経営法務は文字通り経営に関する法知識を問う問題が出ます。法律なんて、ややこしくて膨大な量があると、最初から腰が引けてしまう方も多いと思います。

 

しかし、診断士試験に関わる法律の範囲は意外にボリュームが少ないので、安心してください。

少々、乱暴ですがテキストに(法○○条)と注記されている条文しか出ないと思っても、構わないと思います。弁護士や弁理士のような法務専門家を求めているわけではなく、中小企業経営に関連の深い条文だけがテーマです。しばしば出てくる事案にだけ実務的な知識があって、それ以外の事案では専門家に橋渡しできる程度の最低限の知識があればいいわけです。

 

先ずは、テキストをざっと読んでみましょう。そのときに注意するのは、毎度お馴染みの用語の定義です。法律独特の用語は、一般社会ではあまり使わないので確認しておきます。

テキストを読むときに、内閣府の「法令検索サイト」を閲覧できるようにしておくと便利です。テキストに(法○○条)と注記がある場合には、法律の原文に当たってみます。

 

例えば、テキストに「専用実施権とは・・・排他的独占権である。・・・権利を占有する(同法77条)。」とあったとします。そこで、特許法77条を閲覧してみます。

そうすると、

第七十七条 特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。

2 専用実施権者は、・・・、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。

3 専用実施権は、・・・の場合に限り、移転することができる。

4 専用実施権者は、・・・他人に通常実施権を許諾することができる。

とあります。

ここから、特許権者は専有実施権を移転したり、他人に実施の許可をすることができるということが分かりますね。(但し、特定の場合です。)

こうして、原文で確認すると不思議なことに知識が定着しやすいです。

 

さて、昨年の試験問題を見てみましょう。第7問です。 



経営法務の問題は、事業者さんと相談に乗る診断士との会話形式など、体裁でややこしくしている場合も多いのですが、この問題はシンプルです。

どうですか? これは、たぶんサービス問題ですよね。

 

アの「意匠権の存続期間が設定登録から20年」が正解です。

イは「実用新案権の存続期間は設定登録から10年」ですから不正解です。

ウは「商標権の存続期間は設定登録から10年(あるいは5年)ですが、更新も10年(あるいは5年)」ですから不正解です。

エが、ちょっと引っ掛けです。「特許権の存続期間は出願から20年」ですね。言われてみれば、そうだと気づきますが、御用心!。

 

さて、診断士試験を受ける人の多くは、経営法務の本格的な勉強はもっと後になってから始めるのではないかと思います。

 

ただ、あまり直前になって慌てないように、興味のある分野から勉強するのがよいと思います。最近の株価の乱高下が気になっていたら金融商品取引法、商標とか著作権に興味があれば特許法、事業承継に興味があれば民法や会社法といった感じです。但し、試験問題の割合は知的財産関連が高いので、ここはできれば早めに押さえたいですね。

 

経営法務は勉強した分だけ点数が伸びる教科で、裏切られることはあまり無いと思います。

 

※ 経営法務には英文契約問題が1問出ます。この解説はまた今度。