ストレスの強さは情報の量と質で決まる

仕事に限りませんが、人がストレスを感じる原因は得ることのできる情報の量と質です。

 

社長 島耕作
社長 島耕作

カナダ人生理学者のセリエは、ストレスを学問的に体系化した先駆的な方です。セリエは、「ストレスは生活のスパイスだ」という有名な言葉を残しました。

 

「ストレスが存在しなければ人間は生きていけない。」「ストレスを避けることは、食事や運動を避けることと同じだ。」「ストレスは私たちに傷跡を残すが、その傷跡は次に同じストレスに襲われたときに私たちを守る。」などと言っています。

ストレスを避け続けていては人生は成立しないわけです。

 

ストレスとは、外部環境からの刺激によって起こる反応です。同じ刺激を受けても、反応の強さは人によって異なります。それは、人によって持っている情報の量と質が異なるからです。

ある刺激を受けても、関連する質の高い情報をたくさん持っている人と、はじめてその刺激を受けて何の情報も持っていない人では、反応の強さが全く異なるのは当然です。

 

会社で新入社員とベテラン上司で、仕事で受けるストレスの強さが異なるのはこの差です。情報の量と質、あるいは経験の量と質が異なるのです。更に、同じ年数働いていても、会社のなかのポジションによって情報には差が出ます。例えば、部長には部長に、課長には課長に与えられる情報があります。組織を統制するのは、この情報の差ですから、しっかりした会社ほどきっちりと区分しています。会社に勤める人が昇進を望む理由は、実はここにあります。

 

それでは、情報の量が多ければ多いほどいいかと言えば、それも違います。同じ刺激を受けても、それを刺激と受け止めるだけの情報が無ければスルーできます。若手は呑気でいいなぁ。と上司が愚痴っていることも多いでしょう。ここらは難しいことです。

 

年をとって経験が多いとか、偉くなって情報が多いといっても、全ての分野ではありません。ベテラン上司でも、最新のIT技術などに強いストレスを感じる人も多いでしょう。もちろん、IT技術の情報の量を増やし、質を高めることで解消できますから、努力をするべきです。

 

しかし、無限に情報を得るには時間の壁があります。自分の持っている情報の量と質を客観的に見て、刺激に向き合うということが正しい対応のようです。ただし、自分に時間の壁が本当にあるのかは精査しないといけませんがね。