【日曜連載】中小企業診断士試験合格への道標③

連載第3回目です。今回は、1次試験の最初の科目「経済学・経済政策」について書きます。

 

私は工学部出身ですので、経済学というものを勉強したことはないわけです。いきなり、需要曲線とか供給曲線とか言われても戸惑うばかりです。

 

先ずは用語の意味を大雑把に理解します。ここでも、お馴染みの「ポケットテキスト」が役に立ちます。

ここで、大事なのは正確に理解するのは大変なので、あくまで大雑把にです。先ずは、用語に慣れるというか、そういう言葉が経済学では使われるんだなぁくらいで構いません。

 

ざっと用語に慣れたら、ノートに図を書いてみましょう。経済学の試験勉強のコツは、絵や図で用語を理解することです。

実際、テキストには多くの図が掲載されています。併せて、数式めいたモノも載っていますが、これは後回しにして、とにかく用語の意味を図で理解することです。

 

昨年の試験でも、全25問中で図を見て解答する問題が12問出ています。経済学の学習の要点は「図」です。

さて、昨年の問題の最初の図は、問4の設問2です。

 


どうですか? なんて難しいんだろうと思われますか?

でも、この問題の本質は「乗数」という用語の意味を尋ねているだけなんですね。

 

普通に乗数と言えば、2×3のときの3。つまり掛け算で掛ける方の数を言います。しかし、経済学でいう乗数は、ある経済変数が独立的に変化したとき,それにともなって他の変数がどれくらい増加するかを表す比率のことです。

この問題では、この乗数という用語の意味を知っているかだけを確認しています。

 

総需要線がAD0からAD1に独立的に変化したとき、需要と生産の均衡点はEからFに移動しました。つまり、AD0からADまで総需要をBFだけ変化させると、実際の総需要はAF分増加したというわけです。この問題の解答は、”AF/BF”となります。

 

この図は頻繁に問題に出てきます。

ちょこっと解説(経済学の専門家でないのでいい加減解説ですが・・)します。

1)45度線というのは、需要と生産(この図ではGDP)は、その大きさが一致したところで均衡するということです。まぁ、当たり前に腑に落ちます。

2)総需要線が原点(需要も生産もゼロの点)を通らないのは、仮に稼ぎがゼロでも生きていくためには食事もするし、服も要るので消費はあるってことで納得ですね。もちろん、稼ぎが増えれば消費も増えていきます。

3)じゃぁ、総需要線を上方シフトするって何?と言えば、わかりやすいのは公共投資です。政府がお金を出して需要を増やすわけです。

4)ここで面白いのは、政府がBF分の投資をすると、総需要はE点からBF分上方に移動します。需要が超過するので、その分だけ総生産が増えます。すると、所得が増えるので、また需要が増えます。すると需要が超過するので総生産が増えて・・という繰り返しがあって、最後にF点で需要と生産が均衡することになります。

つまり、BF分の公共投資によって、結果としてBF分より大きくAF分の需要が増えるということです。これが、投資の乗数効果です。