アメリカは傲慢だ。というのは本当か

強い国が弱い国を援けると、援けを受けている国から傲慢だと非難されることがあります。

 

自由の女神
自由の女神

身近では、上司が部下を援けたとしても、部下から”自分の出世のために、余計なことをしやがって”といった非難を受けることがありますよね。

 

北朝鮮の金正恩委員長がミサイルや核兵器の存在を誇示しています。日本は、アメリカによって安全を担保されていることは客観的な事実です。

しかし、アメリカの行動が傲慢であると主張する人がいます。ことさらマスコミで声高に叫ぶ知識人と自称する人もたくさんいます。

 

公平にみて、これまでアメリカが多くの国に対しておこなった支援や援助は、見返りを超える大きさだったと言えます。現在においても、規模は縮小しているとしても基本的には変わりません。

 

日本も、戦後の復興はアメリカによる穏健な占領統治と18億ドルの巨額な援助無しには成し遂げられませんでした。現在においても、第三者が客観的に評価すれば、日米安全保障条約の枠組みはアメリカに日本より大きな負担があります。

現在の欧州の繁栄も、第二次大戦後のマーシャルプランによる120億ドルを超える巨額な援助があればこそですし、NATOを中核にする欧州の安全保障も米国の下にあります。

アメリアは中国にも戦後の3年間で11億ドルの援助をしてから、近年まで継続して支援を続けています。

 

強い国の支援を受ける側が素直には受け取れないという気持ちは理解できます。

19世紀の世界の強国であったイギリスなども同様ですし、ある意味で20世紀初頭のアジアの強国である日本も同じです。大国の支援は、弱い国をたすけるのではなく、結局は自国の国益を第一に考えてのことだと言うのです。

しかし、それは当然のことです。世界で大きなシェアを持った大国は、競争によってシェアを高めることができません。したがって、自らが関与する世界が平和になって経済や文化の面で豊かになることでしか自国の国益を高めることができないのです。

 

日本がアメリカに盲従することはありませんが、感謝を忘れて非難することもありません。

 

日本は中国に対して天安門事件をはさむ20世紀の後半20年だけでも7兆円の援助をしています。これに対して、中国政府は”評価はするが感謝はしない”と公式に発言しています。

韓国と日本の関係も同じです。これを以って、日本のなかに嫌中や嫌韓を言う人がいますが、自らも省みることですし、そもそも支援に感謝を求めるのも間違っています。

現在の中国も韓国も世界の大国となりました。支援する側の国となったのですが、支援した先の国から非難されることも増えているようです。

 

最初に戻って、上司の支援を傲慢だと非難していた部下も、いつかは自分の部下を持つようになるのです。そのときに、何を言っているのだ!と怒るようでは、まだまだです。