高齢化の議論:平均寿命って正しいの?

平均寿命とは、ゼロ歳の平均余命のことですが、本当に正しいのでしょうか?

 

今日の内容は、学問的(統計学的)に検証した内容ではないので悪しからず・・。

 

大切なのは、「平均余命」です。ある年齢の人々が、その後何年生きられるかという期待値のことで、生命表で計算されています。ただし、平均余命は、現時点での死亡状況が将来にわたって続くと仮定した数字なので、その後の医療の進歩や環境の変化によって、異なっていく可能性があります。

 

 

日本人男性の平均余命2015
日本人男性の平均余命2015

厚生労働省が公表している2015年の生命表からグラフにしてみました。

男性の場合、ゼロ歳の平均余命は80.75年です。今年生まれた人は、80.75年生きると期待されているということになります。これが、「平均寿命」というわけです。

 

20歳の平均余命は61.13年、40歳は41.77年、60歳は23.51年、80歳は8.83年、100歳は2.18年となっています。

 

ファイナンシャルプランナーが家計診断をするときは、この生命表の平均余命まで生きるとして計算するのが一般的です。

 

日本人の平均寿命の推移(2017高齢化白書)
日本人の平均寿命の推移(2017高齢化白書)

高齢化問題を考える基礎となるのが、平均寿命の推移と将来推計になります。

今年の高齢化白書にあるグラフです。

 

男性の平均寿命は、2015年に80.75歳ですが、50年後の2065年には84.95歳になるという推計です。

女性の場合は、2015年に86.99歳の平均寿命が2050年には90歳を超えて、2065年には91.35歳になると予測されています。

本格的な人生100年時代の到来です。

 

しかし、この平均寿命を眺めていると、不思議なことに気がつきます。私の生まれた1960年の男性の平均寿命は65.32歳です。つまり、私たちが生まれたときには、65歳くらいまで生きると推定(期待かな?)されていて、社会設計もこれを基準になっていたというわけです。

さて、実際はどうなっているのか?

 

1960年に生まれた男性は80万8千人です。2016年(56歳)時点で75万1千人(93%)が生存しています。正確には56歳の日本人人口なので、自然増減だけでなく社会増減(国籍の変更など)を含みます。この75万1千人の平均余命は26.5年くらいと推計されています。

 

どうも、1960年生れの平均寿命65歳という推計は、結果としては間違いで、実際はかなり延びているような感じです。医療の進歩や公害問題の克服など生活環境の改善が、私たち世代の寿命予測を狂わせたのだろうと思います。

 

まぁ、これからのことは分かりませんし、知ることもできないのですが、今年生まれた赤ちゃんでも、平均寿命80歳(男の子)とか87歳(女の子)と考えないで、100年生きると頭に置いて育てるほうが良いような気がします。医療技術の進歩は限りないですし、生活環境は総じて改善されていくと期待できます。子育ては、のんびりと、慌てないで・・・ですね。