憲法改正の議論はしたほうがよい・・

日本国憲法が施行から70周年を迎えて、安倍首相が2020年の憲法改正を目指すと発言しています。

 

各メディアから世論調査の結果が発表されていますが、大方の結果は次のようなものです。

1.憲法改正の議論はしたほうがいい。⇔現時点で憲法改正の議論は深まっていない。

2.憲法の一部は改正したほうがよい。⇒但し、何を改正したいのかを調査で問うていない。

3.憲法9条は改正しないほうがよい。⇔自衛隊は憲法9条で認められている。

要するに、施行から70年も経っているので、改正の議論をして、時代に合わなくなった部分は改正してはどうか。というのが国民の平均的な意見でしょう。但し、戦争放棄を謳っている憲法9条はこのまま残して欲しいということで、自衛隊については文言的に苦しいことは承知の上で9条のなかで認めるという意識です。

 

憲法改正を支持するとは言え、大きなシステムの変更などは求めておらず、戦後70年経って変わっていった現在・現実の仕組みに合わせて欲しいということだと思います。

例えば、憲法の第1章は「天皇」では、元首と明記するという案もあるようですが、現在の象徴で問題は無いでしょう。2章の「戦争の放棄」も解釈改憲を繰り返してきた事情もあって、文言はそのままで構わないということです。3章以降には、時代に合わないところがありますから、部分的には見直していいと思っています。 

 

まぁ、この方向性が妥当なところだと思うのですが、日本国憲法の改正は両院の三分の2以上の議員が発議したうえで国民の過半数の賛成が必要というガチガチの規則があるので、事実上は改正できないと思われます。まぁ、国会で議論をおこないながら、その過程を国民に知らせることを続けていただきたいと期待しますが、あと30年後の施行100周年くらいに、少し改正されるくらいかなぁと予想します。

 

日本国憲法は昭和22年5月3日に施行されたので、今年が70年目です。日本は昭和20年8月15日に敗戦を迎えて連合国に占領されました。占領軍は、その秋に日本政府に対して憲法改正を命令しますが、要求通りのものをつくることができません。そこで、占領軍が草案をつくり(9日間でできたそうです)、昭和21年3月6日に天皇の命令とマッカーサー元帥の承認を得て発表されました。当時の日本政府(幣原喜重郎内閣)が日本国民を代表していたわけではないのですが、形式的には昭和天皇が大日本帝国憲法を改正したというわけです。

この成立の経緯を以って憲法は改正するべきだという議論もありますが、まぁ70年も経ったことですから、現状・現実に沿って改正するということでよいのではないでしょうか?

 

憲法改正論議は、日本の政治のわかりにくさの象徴でもあります。本来の主張や標榜する主義からは憲法改正を唱えるはずの共産党や社会民主党が護憲を主張しています。一方の保守主義政党に見える自民党が憲法改正が党是だと言います。反米と親米・反共と親共・保守と革新などの間に両価感情が根強くあるので、なかなかスッキリはしません。