目からうろこの税金のお話&地球温暖化対策税ほか

直接税と間接税について、あるいは税金全般について誤解がありそうです。

 

国民が納めている税金の総額は、国税と地方税を合計して約100兆円です。

下の円グラフです。

 

これに対して、日本の名目GDPは537兆円です。税収のGDP比率は18.6%です。

これに社会保険料徴収が66兆円ありますから、国民負担は166兆円です。国民負担のGDP比率は31.0%です。(財政赤字分を含めると、38%くらいになります。)

この水準は高いようですが、世界的にみれば、かなり低いです。OECD諸国で最も国民負担率の高いのはデンマークで約50%です。以下、フランス・ベルギー・フィンランド・・と続きます。それでも、30%を超える負担には、痛税感は大きいです。

日本より負担率の低い国をみるとOECDで最も低いのはメキシコで約20%です。以下、チリ・韓国・アメリカ・スイスが、日本よりも負担率が低い国です。

 

財務省のHPにある円グラフです。

直接税=所得課税+資産課税 65.7%

間接税=消費課税 33.7%

直間比率が66:34です。意外に間接税の割合が高いですよね。

ヨーロッパの国はおよそ55:45ですが、アメリカは23:77くらいです。

トランプ大統領は間接税の割合が高いことが非関税障壁になると言っています。

 

意外に間接税の割合が高いのは、消費税以外の間接税があるからです。揮発油税(ガソリン税)、タバコ税、酒税、自動車税などいろいろです。

 

平成24年10月からは「地球温暖化対策税」というのも加わっています。

これは、温室効果ガスを排出する化石燃料に二酸化炭素(CO2)排出量1トン当たり289円の税を課したものです。総額で、年間2600億円くらいになります。税金を払う人を1億人とすれば、1人当たり年間2600円の負担です。

 

この税は、いわゆる目的税です。2600億円は地球温暖化対策に限って使われるはずです。平成29年度予算で地球温暖化対策関係とされているのは、環境省のHPによると8176億円です。なるほど、税金は全て地球温暖化に使われているようです。

ところが、この予算の執行では環境省は1/4以下の2025億円で、一番大きいのは経済産業省の2913億円です。農水省が1935億円、復興庁が332億円と続きます。

 

ここで、復興庁って何?って感じですよね。

調べてみると、森林環境保全整備事業とか水源林造成事業とか、震災で被害を受けた山林の復興で農水省・国交省と合わせて1170億円が計上されています。確かに、温室効果ガスの吸収をするという意味では地球温暖化対策費ではあるのですが、落ち着きは悪いですね。

そうなると、あの面倒な0.21%。そう、復興特別税の税収年間1.2兆円との関係はどうなっているのでしょうか?という素朴な疑問が出てきます。

 

地球温暖化対策税とか復興特別税は典型的な目的税だと思うので、税収と支出の関係をきちんとつなげて欲しいです。いつの間にか一般財源化してしまわないか心配です。(復興税は過去にアダルト雑誌の電子化とかアイドル発掘なんかに転用された黒歴史がありますし・・)

 

国会のニュースを見ていると、税金と使い道について、予算委員会なんかでもきちんと検証されているのかが不安になります。野党が与党の策略に嵌まって、大坂の小学校の土地問題なんかで時間を潰させられている間に、国民には何の説明もしないで予算が通ってしまいます。

行政はほくそ笑んでいるような気がします。杞憂でしょうか?

 

もちろん、8億円を小さい金額とは言いませんが、166兆円の国民負担とその執行についての議論がないように見えるのはいかがなものでしょうか?

ちなみに国会にかかる経費は年間1040億円。250日で割っても1日4億円以上ですよ。

テレビのワイドショーじゃあるまいし・・って感じです。これも税金です??