トランプ次期アメリカ大統領の、過激で実態を知らない発言が続いています。
15日に、トランプ氏はドイツのメルケル首相の移民受け入れに対して、「非常に壊滅的な過ちを犯した。どこから来たかも分からない不法者を受け入れた」 と語ったそうです。
さらに、「EUはドイツであり、EUはドイツの乗り物だ」とも言いました。
さて、現在のドイツでは移民の背景を持つ人が約1700万人おり、全人口約8200万人に対して28%を占めています。
とくに一昨年の2015年には89万人と史上最大の移民流入量(2016年は28万人)を記録したことが騒ぎになりました。トランプさんが言うようにあたかも不法者を野放図に受け入れているかのように見えます。
ところが、ドイツの人口推移をみてみますと、この30年間に渡ってほぼ横ばいなのです。
2016年の人口が8257万人・10年単位で溯ってみると2006年が8232万人、1996年が8031万人です。要するに、移民を受け入れていなければドイツの人口は大幅に減少していたというわけです。そして、総人口が増えるほどには移民を受け入れてもいないということです。
そして、若い世代の移民の流入が、ドイツの高齢化を遅らせています。決して、野放図ではなく(完全に管理できていないまでも)ある程度調整はできています。
私がドイツを仕事で何度か訪問したのは、もう20年くらい前のことになります。当時はトルコからの移民の方が多くて、雑役等の仕事をしていました。その後は東欧、さらに南欧、最近では中東からの移民が増えているようです。
移民の問題は世界でいろいろと取りざたされています。ドイツの移民政策の失敗を声高に主張する人はトランプさん以外にもおります。しかし、移民は昨日今日のことではありません。戦後70年を経て、既に二世や三世もたくさんおります。
この間のドイツの経済や文化の発展を見る限りにおいて、移民問題が大きく足を引っ張ったということはなさそうです。決して壊滅的な過ちを犯していません。
それよりも、2017年からの米国が、米国だけなく世界に対して壊滅的な過ちを犯さないことを強く願っています。