七夕祭りは働かないことへの戒め

七夕の夜、空は厚い雲に覆われて、織姫と彦星の一年一度の再会は見えませんでした。

 

七夕の伝説をざっくり言えば・・

 

天の川の西岸に住む織姫は、機織りが仕事です。東岸に住む彦星は、牛使いです。

この二人が結婚したのはいいのですが、よほど楽しい新婚生活だったようで、ふたりとも遊んでばかりいて、仕事をまったくしなくなりました。

天帝が怒って天の川を隔てて、愛するふたりを離れ離れにします。そうすると、ふたりはお互いを思って悲しみのあまりに、泣き暮らします。

あんまり泣き続けられても迷惑なので、天帝はふたりが真面目に働くのであれば、一年一度の七夕の夜に、カササギの翼に乗って再会できるようにしました。

 

七夕は悲恋の物語というわけではなく、若い男女が結ばれたものの、仕事をいい加減にしてほっぽり出した。怒った親御さんとか社長さんとかが、お説教したり配置転換したりして、目を覚まさせた。といったかなりリアルなエピソードですね。

中国では、七夕は働かないことへの戒めという意味合いが強いそうです。

 

日本で七夕伝説がロマンチックな物語になったのは、古来からあった「棚機女(たなばたつめ)」という風習と一体になったからだそうです。これは、若い女性が村から離れた場所で、神様に備える布を織りながら祈祷するという風習です。

 

遣唐使が中国から持ち帰った七夕の物語と棚機女の風習が符合して、勤労のススメという意味は少し忘れられたということのようです。