クラウドファンディング拡大の鍵は倫理的に正しいこと

クラウドファンディングは、インターネット経由で小口の資金調達をする仕組みです。

 

山口県はクラウドファンディングの活用を進めようと考えています。誘われて、活用促進セミナーに参加しました。

山口県として、最大50万円のクラウドファンディング活用助成金を用意しているとのことです。但し、投資型に限るとか、県の創業支援を受けたものとか、利用にはハードルがあります。

 

クラウドファンディングという単語は、たくさん耳にするようになり、大いに盛り上がっていると感じています。興味深いテーマです。

 

 

(以下は、セミナーの内容とは関係ありません。)

さて、クラウドファンディングですが業界団体とか公的機関などの信頼できそうな統計データが見当たらないので、実態がよくわかりません。

矢野経済の2015年8月の調査報告で、「2014年度の市場規模は前年比59.5%増の197億円だった。2015年は43.9%増の283億円と予測する。」というのがネット上にあります。

 

2014年の197億円の内訳は・・

「貸付型」156億円・「購入型」20億円・「投資型」19億円・「寄付型」1億円です。クラウドファンディングを取り扱う事業者は約100社で、専業事業者は40社程度とのこと。

 

クラウドファンディング市場の80%近くが「貸付型」というのが驚きです。そもそも「貸付型」というものの存在を知りませんでした。インターネットで小口資金を集めて5~15%の高利回りで運用するというものですが、一般にイメージされるクラウドファンディングとは違いますね。

これを除くと、2014年の市場規模は40億円・2015年で55億円という感じです。

今のところは、思ったより小さな市場です。今後、クラウドファンディングの活用は、政府や自治体の後押しもあって、盛んになってくると思います。

 

クラウドファンディングの最大の特徴は、出資者(資金提供者)と事業者(資金調達者)の距離が近いということです。事業者の事業に共鳴した人が出資者となり、インターネットを通じて事業者の活動を身近に把握しながら、サポーターとなって応援する仕組みです。この仕組みが成立するには、プラットフォームになっている取り扱い事業者の存在が不可欠です。

 

少し気になるのは、クラウドファンディングは小口に分けたリスクマネーを集める手法だということです。出資者一人は少額でもあり、寄付や応援という意識もあるので、仮に損失を大きな痛みと感じないだろうと、事業者やプラットフォーム側が甘く観ないかということです。

 

一口は少額でも、インターネット経由で集まる金額はまとまったものになります。

クラウドファンディングの活用が拡がるには、よい事業者(資金調達者)=倫理的に正しいという意味=がきちんと選別して提示されて、その活動が正確にモニタリングされていることが担保され続けることが必要でしょう。

 

「違法ではないが、不適切」な事例が、散見されるようになると一気に収縮しそうです。大切に育てていって欲しいものです。