JR西日本が、昨年「山陽新幹線全線開業40周年」で流したCMが「あしたセレンディピティ」。
CM曲は倉木麻衣さん(出演もしている)で、滝川クリステルさんなどがいろいろな場所で「セレンディピティな体験」をするショートストーリーです。
ゴールデンウィークに、日常の仕事や勉強から離れて、旅を楽しんでいる人も多いと思います。
さて、「セレンディピティ」という言葉は、日本語に訳せない英語として有名です。
辞書には「求めずして思わぬ発見をする能力」「偶然にものをうまく見つけ出す能力」とあります。確かに、日本語でぴったりする言葉が見つかりません。
セレンディピティは、英国の政治家ウォルポールが1754年につくった造語だそうです。
元になったのは「セレンディップの3人の王子さま」というペルシアの寓話集です。セレンディップはスリランカにあった王朝のことです。
3人の王子は旅の途中でたくさんの意外な出来事に出会います。そのたびに、もともとは探していなかった何かを偶然発見していきます。この偶然が、大きな成功につながる物語です。
有名なのは「迷子のラクダ」という寓話です。
(以下、コピペ) 旅する王子たちは,そのラクダを直接見ていないにもかかわらず,「歯が1本抜けていませんでしたか?」「そのラクダは足が1本不自由ではなかったですか?」などと特徴を言い当てます。
なぜ王子たちは,ラクダの特徴を言い当てることができたのか。それは,王子たちが歩いてきた道には,ラクダが葉っぱを食べた跡があった。その食べ跡を見ることで,歯が1本抜けていることがわかった。また王子たちが歩いてきた道には,ラクダの足跡があった。その足跡は,1つの足を引きずりながら歩いたような跡であった。それで,足が不自由であることがわかったのです。
科学の世界でも、偶然の発見を「セレンディピティ」と言います。wikipediaには、例として
エルステッドの電気と磁気の関係の発見(1820年)から、田中耕一さんの高分子質量分析法・白川英樹さんの導電性高分子の発見までいろいろと紹介されています。
「セレンディピティ」は、基礎的な学問の積み重ねを経たうえで、深い洞察力を鍛えて、注意深く実験をしていった結果があってはじめて「偶然に思わぬ発見ができる」ということですね。「掘り出し物」も掘り出す能力がなければ埋もれたままです。
但し、いくら能力があっても、その場に居なければ掘り出せません。しっかり準備をして、旅に出かけましょう。