地価公示 商業地8年ぶりの増加

「商業地」の地価は+0.9%。8年ぶりに上昇。「住宅地」は-0.2%。下落率は6年連続縮小。

 

リーマンショック以来下がり続けていた「商業地」の地価が、8年ぶりに上昇に転じました。外国人観光客による、宿泊や買い物需要の増加が大きな要因と言われています。

特に上昇率が高いのが、札幌・仙台・広島・福岡の「地方中枢都市」です。東京・大阪・名古屋の「三大都市圏」を上回る上昇率です。

 

「住宅地」の地価は全国平均では引き続き下落しています。但し、下落率は縮小しています。

 都市部では住宅地の値上がりが広がっています。こちらも、「地方中枢都市」の上昇率が高くて、「三大都市圏」を上回っています。

 

 

一方で、「地方中枢都市」と「三大都市圏」を除く「地方」では、「商業地」が-1.3%、「住宅地」が-1.0%値下がりしています。商業地は24年、住宅地は21年連続の下落です。

 

地方の地価は引き続き下がっていっています。いわゆる二極化ということになります。

 

ちょっと横道なのですが、会社の時価純資産価値を算出するとき、土地については不動産鑑定を行うこともありますが、公示価格を参考にするケースが最も多いと思います。

 

会社を他人に譲渡する場合を考えます。買い手は、会社を高く売りたいと願います。

しかし、地価公示が下落しているとすれば、買い手がつける土地の値段は売り手が想定するより驚くほど低くなります。24年連続で下落していれば、恐らく半額以下の値段しかつかないです。

これが、地方でM&Aが活発にならない原因の一つです。

 

しかし、地価公示が上昇に転じれば、売り手の交渉力は格段に上がります。ゼロをはさんだ、僅かのパーセントでも、プラスとマイナスは大きな違いがあります。

地方の中小企業では、M&Aの買い手はそれなりに多いのですが、まだまだ売り手が少ない状況です。地価公示がプラスに転じる時期が、変化のきっかけになるかも知れません。