地震と火山に学んでジカ熱に備える

感染症の流行で恐ろしいのは国民の心理的な不安の拡がりです。

 

ブラジルをはじめとする中南米諸国でジカ熱の感染が拡がっています。妊婦が感染した場合に、産まれた子供に小頭症や神経障害が発症する可能性が指摘されています。

 

未知の感染症は人々に恐怖を与えて、社会生活に大きな影響を与えます。この影響を最小限に抑えるのは科学的で信頼できる適切な情報開示です。

 

 

2002年のSARS(新型肺炎)での死者数は世界で775人。日本ではゼロでした。しかし、社会的な影響は極めて大きいものでした。国内外の旅行業界などの直接的影響だけでなく、人の移動の制限によってあらゆる企業活動や生産活動が停滞しました。

 

2009年の新型インフルエンザ(鳥インフル)での死者数は世界で14,286人。日本では203人でした。但し、この203人には喘息や糖尿病など持病を持つ人が多く、新型でないインフルエンザで亡くなった人が相当数含まれているそうです。

 

これらの例で分かるように、(封じ込めに成功したから被害が小さく済んだという側面も確かにあるのでしょうが)感染症そのものの被害は限定的でした。しかし、その被害の何倍も大きな社会的な不安と損失が発生しました。

 

昨日、桜島が爆発的噴火があり、気象庁の緊急記者会見がありました。東日本大震災以降、火山噴火が続いていることもあって、北川火山課長の会見はお馴染みになっています。

火山だけでなく地震や風水害でも、最近の気象庁の記者会見は好感が持てます。科学的で信頼できそうな情報を、”信頼できそうな””いつもと同じ””一人の方が”発信していることが安心を与えます。

 

過去のSARSも新型インフルエンザのときも、厚生労働省の情報公開は稚拙でした。新型インフルのときは、当時の舛添厚生労働大臣が朝7時に緊急記者会見をおこなって、国民を半パニックにさせるような失態もありました。申し訳ないのですが、舛添さんには感染症についての知識がないと思われるので、国民は信頼はできません。

 

さて、ジカ熱という新たな感染症の恐怖が拡がっています。水際対策や治療や予防法の開発など、技術的な課題に取り組むことは大切です。その一方で、情報公開の方法を準備しておいて欲しいと思います。

テレビのワイドショーも、信頼できそうな研究者を呼んで冷静に話を聞く番組ばかりではありません。言い方が悪いですが、不安を無理に煽っていくこともあります。

”信頼できそうな””いつもと同じ””一人の方が” 情報発信できるような準備が必要です。

これは、企業における広報でも同じですね。