怨みを残さない・・社長のための老子(71)

老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第七十九章です。

 

この章では、最後に出てくる「天道無親(てんどうむしん)」が四字熟語として有名です。

天の道は誰かと親しくすることはない。つまり、依怙贔屓せず公平であるという意味です。

 

また、「契」とは竹などで作った”割符”のことです。当時は、割符の左側「左契」を債権者が持ち、右側を債務者が持っていたそうです。

貸し手が借り手に無理に取りたてるのは徳が無いと言っています。銀行や貸金業の方には申し訳ないのですが、老子は「貸しをつくること」あるいは「相手が借りをつくること」を喜ぶのが徳のある者がすることだと一貫して言っています。

 

和大怨必有余怨。

安可以為善。

是以聖人執左契而不責於人。

有徳司契、無徳司徹。

天道無親、常与善人。 

 

大きな怨みは和らげたとしても、必ず怨みは残り続ける。

和らげたことをもって善いことをしたとは言えない。

だから、聖人は割符を持っていても、相手を無理に責めたてない。

徳のある者は契約を管理し、徳のない者は取り立てを管理する。

天の道は公平で、いつも善人に味方するのだ。