どんな大病をしても医療費は月に10万円くらいですむ

シニア創業を計画している方との相談で、例えばガンになったら、という悩みを聞きました。

 

少し乱暴な言い方ですが、「むやみに医療費を心配する必要はない」のです。

日本の社会保障はなんだかんだ言っても、非常に手厚くなっています。心配しすぎて、医療保険にたくさん入ったり、ガンになったときようの貯蓄をしようとまで思う必要は多くありません。

 

日本の医療費総額は年間約40兆円です。人口1億2700万人で割れば一人当り31万円になります。

45~65歳のシニア世代はちょうど平均値で一人当たり30万円くらいです。15歳未満だと15万円くらいで、後期高齢者の75歳以上は一人当たり93万円にもなります。 

 

 

すごい金額ですが、この40兆円のうちに患者が直接負担する金額は、4兆7000億円(12%)くらいです。40兆円の約50%は皆さんが掛けている社会保険から支払われ、患者さん負担の12%との差額の38%は公費(つまり税金)で賄われます。これが、日本の医療費に関する社会保障の大枠です。

先ず、この大枠を頭に入れておくとよいです。

 

ここで、「高額医療費制度」という制度のが登場します。医療費が高額になった場合には、一定額以上を超えた分が支給されるのです。

もし、あなたが大きな病気をして大学病院に入院して手術を受けて、これに200万円の医療費がかかったとします。尚、医療費は保険が適用されるものです。 

年間所得600万円以下(年間売上じゃなく所得です)の自営業者であれば、1か月あたりの自己負担額は 8万1000円+(200万円-26万7000円)×1%=9万8330円 になります。つまり、ガンなどで200万円の治療を受けても、10万円ですみます。

 

こう言うと、公的な医療保険が適用されない費用があるでしょう。その分を賄うために、民間の医療保険への加入が必要だと反論されます。

公的保険が適用されない主なものとは「差額ベッド代」・「入院中の食事代」・「先進医療費」です。まず、入院してなくても食事はするので「入院中の食事代」は外してもよいでしょう。むしろ、外食などできないので、食費そのものは減るかもしれません。

 

実質的には「差額ベッド代」が大きいのですが、1日平均で6000円といったところです。(1人部屋で平均7500円ほどです。)

そこで病院に何泊するかなのですが、ガンなどでも医療技術の進歩で大幅に入院日数が短くなっています。ガンでの入院日数は、2000年には平均30日ほどでしたが、2010年は20日を切っています。「差額ベッド代」も計算のうえでは、12万円くらいの貯金があれば足ります。 

 

保険の効かない高度な医療を受けると選択する場合は確かにあります。

先進医療の実施で最も多額なのは肺がん治療などでおこなわれる陽子線治療です。1件当たりの先進医療費は平均260万円ほどと高価です。この備えにと、保険を奨められることもあるでしょう。

 

しかし、陽子線治療の実施例は全国で年間2200例ほどです。

1年間にがんと診断される人は98万人で、肺がんだけでも13万人にも上ります。確率のうえでは、保険料を支払う余裕がなければ準備しなくても構わないですし、そのときに250万円支払う余裕があると予測できる人も準備はいりません。

 

先進医療と言っても眼の三次元画像解析など数千円で済むものもあり、平均すれば1件あたりで100万円を超えません。あまり、心配しすぎないことです。