余ったら足らないところに分ける・・社長のための老子(69)

老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第七十七章です。

 

事業ではいろいろな理由で予定より大きな利益が出るときも、予定に不足するときもあります。大きな利益が出そうなら少し抑えて、利益が不足しそうなら少し頑張ります。弓で的を射るときのように、高さを調整するのです。

 

そして、事業で利益が出たなら、利益が不足している部門や会社を応援します。もし、協力会社が損したなら補てんします。「余ったら足らないところに分ける」ことを、しっかりできるのがよい経営者です。

 

天之道其猶張弓乎。

髙者抑之、下者擧之。

有餘者損之、不足者補之。

天之道損有餘而補不足。

人之道則不然、損不足以奉有餘。

孰能有餘以奉天下、唯有道者。

是以聖人、爲而不恃、功成而不處、其不欲見賢。

 

よい経営(天の道)とは、例えれば弓を引くようなものです。

高くなり過ぎたら抑え、下向きになったら引き上げます。

利益が出過ぎるようならほどほどにして、利益が不足するなら他の事業で補います。

つまり、余れば減らし、足らなければ補うのがよい経営(天の道)です。

しかし、悪い経営(人の道)はこうしません。

利益が足らない下請から更に取り上げて、十分儲かっているのに差し出させます。

余った利益を社会に分け与えることができる人が、よい経営者(道を納めた者)です。

良い経営者(聖人)とは、仕事を成し遂げても自慢せず、成功してもその地位に甘んじず、才能をひけらかしません。