2020年代半ばに希望出生率1.8を達成する

 安倍首相の「新・三本の矢」のひとつ。「”希望”出生率」ってナニ??ですよね?


 先ず、希望出生率1.8とは何か。

 平成22年(2010年)の調査結果です。

 18~34歳の女性で配偶者がいるのは34%。予定している子どもの数が2.07人。

 未婚の女性が66%で、将来結婚を希望しているのはそのうち89%で、そのときの希望している子どもの数が2.12人。これに離別や死別などで減少する割合(0.938)を加味する。

 

 希望出生率=(有配偶者割合×夫婦の予定子ども数+独身者割合×独身者のうち結婚を希望する者の割合×独身者の希望子ども数)×離死別等の影響

 =(34%×2.07人+66%×89%×2.12人)×0.938

 =1.83≒1.8程度

 

 こうして計算されたのが、希望出生率「1.8」です。要するに、何も障害がなくて希望通りに子どもを持つなら出生率は1.8人になるだろうという意味だそうです。

 

 日本の出生率は平成17年(2005年)に「1.26」という衝撃的な数字が出てからは上昇に転じていて、平成25年(2013年)は「1.43」まで回復しています。

 よく比較に出されるフランス(2012年の出生率2.01)やイギリス(同1.92)も、1.6台まで下がっていた出生率を10~20年で0.4ポイント近く上げています。

 名目GDP600兆円と比べると実現性を感じられる目標ですが、課題は大きいと思います。

 

 計算式で分かるように実現のカギは次の二つです。

 1)結婚を増やす。

 前提となる結婚割合は約93%(34%+66%×89%)です。

これに対して、40~44歳の女性の有婚率は69%(未婚率は22%)です。

 結婚に関しては男性側に課題が大きいのですが、有効な対策について議論できるのか?という疑問があります。こんなこと書くと叱られそうですが、若い男性の収入や地位を確保して自信を持ってもらうことです。女性の活躍や地位向上とちょっと裏腹な関係にあります。

 

 2)第三子(あるいはそれ以上)を増やす。

 2.07人とか2.12人という子ども数は、3人あるいはそれ以上の子どもがいる夫婦が一定以上の割合であるということです。

 出産・子育ての環境を整備するということで、保育所や学童保育、育児休業などが話題になります。これも重要なのことですが、教育費の負担軽減も大きな課題です。

 子ども1人の基本養育費(22歳まで・教育費除く)は約1650万円です。

 これに教育費が加算されるのですが、大学まで全て公立で1350万円~全て私立で2150万円と試算されます。教育は、憲法で国民の三大義務になっています。

 

 なかなか頭が痛そうです。