アメリカの雇用統計が低調だった

 2日に発表されたアメリカの雇用統計が低調だったことが、衝撃を持って受け止められています。


【ニュースの要旨】

 9月の雇用統計で、就労者数の増加が14万2千人と発表された。これで、7~9月の月平均増加数は16万7千人で、1~9月の平均は19万8千人。2014年の月平均が26万人だったので大幅な減少となった。労働参加率も1997年以来最低の62.4%まで低下した。(失業率は5.1%と低水準。)

 米国経済の減速が顕著になってきている。原因は、「海外(中国など)の成長鈍化」「世界的な金融の混乱」「政府と議会の失政」の3つだ。



 成長を続けた米国経済が減速しているのは間違いないところです。シェール革命が牽引したこともあって堅調に拡大をしていましたが、そろそろしんどいようです。米国・中国という二つのエンジンがどちらも怪しくなっていますので、注意が必要です。


 ところで数字をよくみると、米国では今年1年間で約240万人(19.8万人×12か月として)の就労者が増えるということです。確かに予想よりは少ないのですが、大変な数字です。

 日本の就業者数は8月末で6379万人で、1年間で約16万人の増加しました。最も増加している業種は「医療・介護」で、減少しているのは「製造」です。結果として、失業率は3.4%まで下がってきました。

 

 日本は少子高齢化で人口が減ってきています。

 一方で、アメリカでは年間250~260万人増のペースで人口が増えていきます。特に生産人口が増えています。また、子どもの人口が多いので、そのペースは今後も続いていきます。


 アメリカは、今後も年間300万人分の仕事を国内に創り出し続けなければ失速します。日本で最も多くの雇用をしているのはトヨタで約35万人ですから、その8倍にもなります。

 これは、世界で唯一、アメリカにだけ課せられた課題です。大統領選挙を迎えて議論百出ですが、「就労」「雇用」が最大の争点です。アメリカ大統領は、たいへんな仕事ですね。