慈しみが会社を守る・・社長のための老子(59)

老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第六十七章です。

 

老子の時代の中国は、激しい内乱(騒乱)のなかにありました。その当時に戦いは宿命ですが、老子は慈悲の心を持てば、相手に勝ち・自分を守ることができると説いています。老子は、大国も小国もそれぞれに違うものが違うままで、平和に共存していくことを奨めています。

 

天下皆謂我道大似不肖。

夫唯大、故似不肖。

若肖、久矣、其細也夫。

我有三宝、持而保之。

一曰慈、二曰儉、三曰不敢爲天下先。

慈、故能勇。

儉、故能廣。

不敢爲天下先、故能成器長。

今舍慈且勇、舍儉且廣、舍後且先、死矣。

夫慈以戰則勝、以守則固。

天將救之、以慈衛之。

 

社員も取引先も、私が正しいことを道理に従ってやると、愚かだと言います。

道理に従うことは、偉大なことですから、愚かなように見えるのでしょう。

もし賢いと言われたいなら、取るに足らないような行いをしていれば大丈夫です。

社長としてわたしは三つの宝物を持っていて、大切にしています。

一つは慈しみ、二つはつつましさ、三つは敢えて皆さんの先頭に立たないことです。

慈しみがあるので会社や社員を守るために勇敢になれます。

つつましく倹約しているから余裕を持って寛大になれます。

社長が皆さんの先頭に立たないから、会社は成長して長く続くのです。

今、慈しみがないのに勇敢だとか、倹約もせず拡大を目指したり、後にならず先頭に立とうとしたりするのは無理なことで、いずれ会社はつぶれてしまいます。

慈しみが深いと、攻めては勝ちに結びつき、守っては鉄壁に堅いのです。

慈しみがあるからこそ、社会が救おうとしているものを救い、会社を守ることができるのです。