素朴に働く・・社長のための老子(57)

老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第六十五章です。

 

この章は、老子が「愚民政治」を目指していたということで、評判が悪い章です。

いろいろな解釈はあるのですが、民衆が賢くなり過ぎないようにと願っていたことは事実です。

 

但し、同時に48章にあるように為政者のほうにも「無為の政治」を推奨しています。つまり、「学問をして知識技能を増やすのではなく、道を学んで知識技能を毎日毎日減らしていきなさい。最後には何の知識技能もなく自然に従うようになりなさい。」と言っています。

 

愚かな社長が愚かな社員と一緒に会社を経営するのが、優れた会社になる方法だということです。

かなり皮肉な話ですが、「倫理的に正しいことを、市場や顧客の役に立つことだけを考えて、自然に無理なく実践していく」だけでよい会社になるということです。

役に立たない理屈ばかりで現場を知らない社長や、手練手管で不正に手を出す幹部、頭はよいけど文句ばかりの社員だと、会社はつぶれちゃいますね。

 

古之善爲道者、非以明民、將以愚之。

民之難治、以其智多。

故以智治國、國之賊。

不以智治國、國之福。

知此兩者、亦楷式。

常知楷式、是謂玄徳。

玄徳深矣、遠矣、與物反矣。

乃至於大順。

 

昔の道理を知った名社長は、社員にすべてを明らかにしないで、愚かなままにしました。

社員をたばねていくことは、情報が多すぎると難しくなります。

会社を知識や理屈で経営するのは、会社に損害を与えます。

知識や理屈無しに経営するほうが、会社は繁栄をします。

この二つのことを知ることが、成功の法則です。

この成功の法則をいつも気に掛けていると、優れた会社になります。

優れた会社は、奥深くて遠大ですが、素朴に本来の場所に帰ります。

こうして、優れた会社は、大きな自然に従うので、うまくいくのです。