戦いは勝ったとしても悲しい ・・ 社長のための老子(24)

老子の教えは毎週日曜日に掲載します。今日は、老子第三十一章です。

2600年くらい前に書かれた文章です。

戦争は放棄したいものの、どうしても戦わなければならないような事態がおこる。現代日本の戦争放棄(憲法9条)問題を持ち出すまでもなく、たいへん重いテーマです。

 

夫佳兵者不祥之器、物或惡之。故有道者不處。

君子居則貴左、用兵則貴右。

兵者不祥之器、非君子之器、不得已而用之、恬惔爲上。

勝而不美。而美之者、是樂殺人。夫樂殺人者、則不可以得志於天下矣。

吉事尚左、凶事尚右。偏將軍居左、上將軍居右。言以喪禮處之。

殺人之衆、以悲哀泣之、戰勝以喪禮處之。

 

軍隊とか武器とかは不吉なものであり、誰にも悪いものです。だから、道理をわきまえた者は使いません。

君子は普段は左側を上席としますが、軍隊を用いるときは右側を上席とします。

軍隊は不吉であって、君子が好んで扱うものではありませんが、どうしても仕方なく使わなければならないときは、控え目にあっさりと使うことにしかありません。

軍隊を用いて勝っても嬉しくはありません。勝って嬉しいと思うものは、殺人を楽しんでいることになります。殺人を楽しむような者が、天下に志を得ることなどできないのは当然です。

古来より、吉事には左を、凶事には右を貴びます。戦争のときは、下級の将軍が左に居て、上級の将軍が右に居ます。これは、戦争は葬礼と同じ凶事だからです。 

戦争は多くの人を殺すのだから、悲しみの涙を流しながら、たとえ戦いに勝ったとしても葬礼をおこなっているように対処しなければなりません。

 

余談ですが ・・ この章も文章の流れがおかしいですよね。2行目が余計だったりします。

老子の時代には紙がありませんから、竹片に一行ずつ書いたものを麻かなにかの紐で結んでいたわけです。時間が経つと紐は朽ちてしまうので、竹片はばらばらになってしまいます。このため、行の並びがおかしかったり、行が飛んだり、付け加わったりしているかも知れません。