リーダー・パワー(ジョセフ・ナイ)冒頭の君主論

米国の政治学者、ジョセフ・ナイが著した「リーダー・パワー」(2008.12発行・日経新聞社)の冒頭は、昨日の老子17章と並んでマキアヴェッリの君主論が引用されています。

 

ナイは、クリントン政権の国防次官補(安全保障担当)を務め、駐日大使の候補にもなった実務家ですが、2004年に発表した「ソフトパワー」で国力の新しい概念を提唱しました。

 

引用されている老子と君主論の一節を再引用してみます。

(老子)最上の君主についてその臣下たちは、そういう人があると知るだけである。

(君主論)君主は、憎まれることを避けながら、恐れられる存在にならねばならない。

 

ナイは、リーダーシップにはハードパワーと関連しているソフトパワーが必要だと言っています。ハードパワーとは資源に基づいて屈服させる力で、ソフトパワーとは文化に基づいて説得する力と言えます。

ハードパワーだけではリーダーでありつづけることができませんが、ハードパワーに関連付けられないソフトパワーもまた無力です。

 

日本外交には、ソフトパワーの強化が必要です。