中小企業の新連携は結構難しい

昨年6月に「中小企業等経営強化法」が一部改正になりました。

 

改正されたのは3つで、➀経営力向上計画・経営革新計画の支援対象範囲の拡大(例えば製造業であればこれまでの従業員数300人以下を500人以下に拡大)、➁M&Aに関する新税制の創設、➂中堅企業(従業員2000人以下の企業)への支援の拡大 です。

それほど大きな改正ではないのですが、ちょっと大き目な会社を支援したい、あるいは創成していきたいという意図が見えます。

 

握手
握手

少し、歴史を振り返ると「中小企業等経営強化法」は2016年に施行されています。

2005年に施行されていた「中小企業新事業活動促進法」を改正したものです。

 

この「中小企業新事業活動促進法」は「中小企業経営革新支援法」「中小企業の造像的事業活動の促進に関する臨時措置法」「新事業創出促進法」の3つを統合したものです。

 

ややこしいことは省くと、一連の法律の意図には、創造性・機動性・技術力に優れた中小企業同士の連携(これを「新連携」と呼んだ)を推進するということにありました。

 

昭和の時代には、特定の大企業に依存していたり、実際に系列に入っている中小企業がかなり多かったのです。この場合、中小企業としては経営を支配され、自由度は制限されるものの、一定の保護下にもありました。

 

ところが、バブル崩壊から平成の時代になり、日本経済の持続的な発展に陰りが見えてきます。大企業と中小企業の持ちつ持たれつの関係は崩れていきました。

そこで、代わって提案されたのが「新連携」でした。

 

しかし結果として、中小企業間の連携というのは、成功することが難しかったように思います。異なる会社が実のある連携をするには、適切な距離感があります。

 

企業の社風というのは、中小企業でもそれぞれ大きく異なります。代表者の人となり、従業員の性格、会社の思想の他、ときには宗教に関連することもあります、

会社の組織や制度の考え方も違いますし、保有している事業用の資産(機械設備や技術や知的財産など)やインフラなどもすり合わせできないほど異なります。

連携するには、お互いの違いを理解しておくことも大事です。

 

新連携には成功例もたくさんあります。

しかし、新連携を構築しようとしても、距離が離れすぎていて、取り留めが無くなって失敗したということも多かったと思います。

 

今回の経営力強化法の改正は、新連携の取り組みは続けてはいくものの、コアとなる企業が大きく成長し、新たなパートナーシップを構築することを目指すことが、効率的な行動と判断した結果なのだろうと思います。