アルゼンチンのトランプ。ミレイ政権の今後はどうなるのか?

訪問先で、「アルゼンチンがやばい!」という話を聞きました。確かにやばそうです。

 

アルゼンチンといえば、サッカーが強い国という印象があります。ブラジルとともに、南米の大国であり、なんとなくしっかりした国というイメージがありました。外務省のWebサイトによると、面積は日本の約7.5倍・世界8番目(276万㎢)、人口は約4割(4600万人)、GDPは約1/7(6300億USD)といった規模の国です。

 

アルゼンチン ミレイ大統領
アルゼンチン ミレイ大統領

アルゼンチンの1月のインフレ率が前年同月比254%ということです。世界で最もインフレが進んでいる国です。経済危機が長期化しています。

 

通貨アルゼンチンペソは大幅に下落しており、現在は1米ドルが850ペソです。1年前は200ペソでしたから、1/4以下に価値が下がりました。

国民はアルゼンチンペソへの信頼を失っているので、資産の大半を米ドルか換金可能な商品で保有しているそうです。

 

この窮地から脱するために、国民が選択したのがミレイ大統領です。ミレイ氏は、アルゼンチンのトランプと称させる経済学者です。実際にトランプ氏を崇拝していると広言しており、過激な言動が目立ちます。政治経験は下院議員としての3年ほどしかないのですが、昨年11月の代表選で与党候補のマッサ経済相を破って大統領に就任しました。

 

ミレイ大統領は、アルゼンチンの危機を脱するには、まったく猶予が無いと言います。まぁ、確かにその通りでしょう。

2025年までに中央銀行を廃止して、法定通貨をアルゼンチンペソから米ドルに代えることを構想しています。歳出削減は待ったなしとして、大統領就任と同時に18あった省庁を9つに減らしました。補助金などの削減などをおこなう一方で、海外からの投資を呼び込むために規制緩和を進めています。

 

政権発足から3ヵ月ですが、現時点ではミレイ大統領の政策はあまりうまくいっていないようです。大幅な規制緩和は、規制で保護されていた国内事業者にとっては、不満になります。 主要な輸出品である農産品は干ばつの影響で輸出額が減少しています。

 

ミレイ大統領は、昨日「中絶は殺人だ」と発言して物議を醸しています。ミレイ大統領が廃止した省庁のひとつが、女性・ジェンダー・多様性省であり、差別解消の推進を担う国家機関も閉鎖したということです。

 

日本にとってアルゼンチンは重要な国です。今後の動向には注目が必要です。