1年間に4万の生物種が絶滅している。生物多様性の危機

生物多様性は種の多様性であり、遺伝子の多様性です。これらの多様性を維持することが、人類が未来に存続する基礎になると言われています。 

 

世界に学名がついた生物種は173万種あります。日本では9万種です。但し、名前が未だついていない、未発見の生物種がこの数倍はあると言われます。1900~1975年には、世界で1年間に絶滅する生物種は1~1000種でしたが、1975年以降は1年間に約4万種の生物が絶滅しています。仮に、生物種が400万種あったとしても100年で無くなるような異常事態になっています。

 

センカクモグラ
センカクモグラ

生物種の絶滅が加速しているのは、人間の営みに原因があります。

 

森林を開発したり都市を建設して生物が棲む範囲が狭まっています。特定の水産資源の乱獲などで、生物資源の量もバランスも乱れています。往来が増えることで外来種との競争に敗れる固有種も増えています。水質汚濁や大気汚染、農薬や化学物質による影響などが直接的な原因です。

 

日本の哺乳類に絞ってみます。既に絶滅したのが、ニホンオオカミ、ニホンカワウソ、オキナワオオコウモリなど7種です。絶滅危惧種は34種。写真のセンカクモグラのほか、イリオモテヤマネコやラッコなどです。さらに、将来的に絶滅危惧種になりそうな準絶滅危惧種が17種あります。

 

センカクモグラはその名の通り尖閣諸島の固有種です。1979年にメスの個体が1体捕獲されて写真のはく製になっています。その後45年が経過しましたが、尖閣諸島に調査に入ることも叶わないので、一体の発見もありません。もしかしたら既に絶滅している可能性もあります。

 

 

日本は島国なので、陸生哺乳類の4割が固有種(日本にしかいない種)です。爬虫類では6割、両生類では8割が固有種とされています。固有種の割合が高いことから、生物種の保存に対する責任はより強くなっています。

☞ 環境省 生物多様性センター(J-IBIS)のWebサイト