建設業の原価管理は逆算でおこなう

建設業は、同じものづくりの製造業と比べても、多くの違いがあります。 

 

製造業のものづくりは、同じものを繰り返しつくります。建設業では、同じ種類の工事であっても、全く同じものは二つとありません。製造業は同じ工場で同じ作業員がつくりますが、建設業では現場は移動しますし、作業員も変わります。さらに、建設工事は多重下請構造なので、元請会社も下請け会社も専門工事業者も、毎回同じではありません。

 

建設工事現場
建設工事現場

建設会社の経営の難しさは、多くの物件が入札や競合なので、売上高の計画を立て難いことです。そこで、一般に、建設業の場合は、自社の設計施工能力で実行できる工事量を予算として計画します。

 

しかし、入札に勝てるかどうか、競合より見積が安いかどうかは、運任せのところもあります。このため、実際の受注が計画通りになるとは限りません。つまり、それぞれの物件に配賦する原価(固定原価)の金額が最後まで決まりません 

 

また、受注した場合では、その時点で契約金額が決まっているので、これを前提として原価(比例原価)を決めていかなければなりません。製造業では、原価が先にあって、これに合わせて販売価格を決めるので、正反対のプロセスになります。

 

このように、建設業の原価管理=管理会計は製造業とはかなり様相が異なります。

建設業では、物件ごとの「個別原価管理」が基本になります。製造業の原価管理では標準原価との差異分析をしますが、建設業では標準原価を決め難いので、実行予算と実際の発生金額との差異を評価します。この予実管理は実に重要で、これがきちんとできていれば建設業の経営は、ほとんどの場合にうまくいきます。

 

建設業の原価管理は独特ですから、経営診断に際しては、予めその仕組みを再確認することが大事です。迂闊に財務諸表などを眺めていては、間違いが起こります。