名古屋城にエレベーター。それもよいですね

 名古屋城の天守閣を創建時に出来るだけ忠実に木造で立て直すという計画があります。

 

このプロジェクトは随分と長く話題になってきました。とっくに実行に移されているものと思いましたが、どういうわけだか進んでいません。また、この段階で天守閣にエレベーターをつけなければならないという主張まで出てきました。もはや名古屋城復元プロジェクトとは言えないですから、廃案にしたほうがよいように思います。

 

名古屋城天守閣
名古屋城天守閣

名古屋城天守閣は、1612年に徳川家康の天下普請でつくられました。

名古屋城の最初の城主は家康の子、義直です。大坂の陣の後、御三家筆頭の尾張徳川家の居城として、名古屋城は江戸260年にわたって栄えました。

 

徳川将軍家の威信を掛けて築かれた名古屋城は近世城郭建築の完成形といわれています。1615年の一国一城令が出されて、新たな築城が禁止されましたので、名古屋城は近世最後の巨大城郭建築です。

 

 

名古屋のシンボルだった名古屋城天守閣ですが、1945年5月の名古屋大空襲で焼失します。戦後1959年に鉄筋コンクリート造で再建されました。再建名古屋城は、建築から60年を経て、耐震強度が不足しているということもあり(現在は閉館中)、建て替えが話題になりました。河村名古屋市長が中心となって、木造での復元という計画が持ち上がったわけです。

 

まぁ、そもそも城郭というものは戦いの場であり、敵の侵入を防ぐためにバリアフルな構造になっているものです。健常者というか、頑強な敵の兵士でさえ容易にたどり着けない城が優れた城なわけで、バリアフリーな城では矛盾しています。

 

もともと木造での復元というアイディアも、歴史的文化的な意味合い(例えば、城郭建築の技術検証とか伝承)ではなく、観光客誘致が目的だったように思います。

そうであれば、現在のコンクリート製の名古屋城を耐震補強も含めてリニューアルして、観光アトラクションを導入した、歴史アミューズメント施設に作り替えるほうがよさそうです。デジタルコンテンツで、尾張名古屋の歴史を体感するわけです。

 

エレベーターは、全面ガラス張りのスケルトンで、天守閣を周回しながら金鯱を下に見るようにしてはいかがなものでしょうか?