旧安川邸で竜王戦。「世界平和」を願っている

明日から、将棋のタイトル竜王戦の第3局が北九州市の旧安川邸でおこなわれます。

 

対局前日の検分の様子が報道されていました。検分というのは、タイトル戦の前日に、両対局者が会場の照明・空調、座布団や脇息、使用される予定の将棋盤や駒の具合を確かめることです。対局者によっては細かい注文を出す人もいるそうです。この対局室に特徴的な書体の「世界平和」という扁額がかかっていました。孫文の署名が見えます。

 

安川邸の孫文
安川邸の孫文

対局場となった旧安川邸は、1912年(明治45年)に安川敬一郎によって建てられました。明治期の和洋折衷の高級住宅で現存するものは稀少で、北九州市の指定有形文化財となっています。

 

安川敬一郎は、現在の安川電機につながる企業家であり、九州工業大学を創設した教育者であり、 日本国に貢献するという強い意志を持った国士でもありました。

 

1911年(明治44年)に辛亥革命を指導した孫文は中華民国臨時政府を成立させて、臨時大統領に就任します。しかし、袁世凱との勢力争いに追われて、1913年から足掛け4年間、日本に亡命します。

「世界平和」の書は、1913年(大正2年)3月に孫文が安川邸に投宿した際に書かれたものです。

 

19世紀後半の中国では、アヘン戦争を契機に列強による植民地化が進みます。戦乱が続き国土が荒廃していくなかでも、清朝政府や役人の腐敗は蔓延しています。中国国内の悲惨な状況を変えるために、清朝を倒すことを決意して革命を主導したのが孫文です。

 

孫文は、「民族主義」「民権主義」「民生主義」の『三民主義』を掲げて、辛亥革命を成功させます。多くの日本人が、アジア最初の共和国をつくった孫文をサポートしましたが、その一人が安川敬一郎でした。

 

世界が混沌とした状況にあるなか、『世界平和』の扁額には深い意味があります。