一時的別居:コミューター・マレッジというかたち

社内結婚したご夫婦です。在職中にはお互いに転勤があり、何度かの別居を経験しました。

 

今は、夫は定年退職して自宅におります。妻はまだ定年まで数年あり、遠方に単身赴任中です。2週間毎の週末に妻が自宅に、夫が妻の赴任先を訪問する形で会っています。

この二人は30年余りの夫婦関係のうち、20年近くの期間を一緒に住んでいません。このような一時的別居を繰り返す婚姻関係を「コミューター・マレッジ」というのだそうです。1999年にウィンフィールドという方の本が日本で翻訳出版されています。

 

コミューター・マレッジ
コミューター・マレッジ

本の宣伝文「コミューター・マリッジ,それは現代の通い婚・週末婚・別居結婚・遠距離結婚等とも称される,いわば〈婦唱夫随〉のキャリアアップ戦略である。」

 

男女機会均等が定着しているなかで、コミューター・マレッジというケースは増えていくように思います。夫と妻の双方が自らの仕事を通して、自己実現を図ることが望ましいことは言うまでもありません。一方で、家族関係の親密さを維持するにも工夫が必要です。

 

とりわけ、育児期の別居をどうするのかは難問です。しかし、保育施設の整備や育児休暇制度の充実で、現代においてはかなり緩和されてきたように思います。費用は多少かかるかも知れませんが、家事・育児への協力者を確保することのハードルは下がっているようです。

 

また、家庭を中心とした結婚観や社会通念も変化してきており、より自由な考え方が採用できるようです。特に、近年は男性側の意識が大きく変わったと思います。国境をまたいだコミュニティー・マレッジの形態も増えていますし、いろいろな仕組みが充実していくと期待されます。