忘年会は日本からアジアに広まっています

12月に入って会社や職場での忘年会がはじまっています。ちょっと調べてみました。

 

首都圏の会社員を対象にした昨年の調査によると・・・

忘年会に参加する人は全体では65%。参加率が高いのは20代男性(77%)で低いのは30代女性(48%)だそうで、小さいお子さんとかいるお母さんは参加しにくいようです。

 

職場の忘年会が必要と答えた人は30%、要らないと答えた人は32%。徐々に忘年会も少なくなっていくようです。

会費は、男性では4000~5000円、女性では2000~3000円というゾーンが最も多くて、2次会に行く人は20%、行かないで帰るのが56%、ケースバイケース24%です。また、忘年会に希望するのは、料理がおいしいことと料金が安いことだそうです。昔の忘年会と違って、随分と簡素なイメージの結果になっています。

 

 

「忘年会」という言葉が文献に初めて現れるのは、1772年の「古今物忘れ」という随筆だそうです。当時の忘年会の様子はよくわかりませんが、12月30日の夕方に、お殿様が家臣を城に集めて「連歌の会」を催して、そのまま「酒宴」になるといった習慣がありました。どうも、江戸時代の「忘年会」は武士の行事だったようです。

 

明治になって武士が役人や民間の仕事に移ったことで、忘年会はすごい勢いで社会に拡がっていきました。西洋人のするパーティーというものを真似て親睦を図るという名目です。あまりに広まったものですから、明治20年には政府から忘年会を質素にするようにという通達も出ています。冬至や節分などの古来の風習が忘れられるようになったことを嘆く人もいたようです。

現在ではクリスマスのお祝いも定着しています。忘年会は年の終わりに1度は職場の親人間関係つくりを、少しお酒も入れて簡単にやろうといった軽い感じになっています。

 

さて日本では簡素になった忘年会ですが、「上司の挨拶」「乾杯」「余興」「三本締め」といった王道の忘年会は、海外に拡がっていきました。韓国の人にはとても受け入れられて「忘年会(マンニョンヘ)」は欠かせない行事になっています。同じように台湾でも盛大な忘年会が開かれますし、ベトナムやマレーシアなど東アジアの国でも広がっていきました。(例外はキリスト教国のフィリピン。この国は11月の初めから12月末まで、毎日がクリスマスです。)

 

ちょっと面白いのは、これらの国の多くは旧暦のお正月を祝います。1月1日はお休みしても2日からは仕事です。会社が休日になって帰省をして故郷でお祝いをするのは旧暦のお正月(来年なら2月18日)です。

日本初の忘年会は新暦のお正月前の行事ですから、実は宴会シーズンの先取りをしていることになっていて(2度飲める)、これが社会に広まった理由なのかも知れません。